6.3 「オース・キーパーズ」:「彼が我々を議事堂に招集し、そこをワイルドにするように望んでいる!!!」
エルマー・スチュワート・ローズによって2009年に創立された「オース・キーパーズ」 は、極右反政府組織である。同グループは、米軍と法執行機関の前職者あるいは現職者をそのメンバー勧誘のターゲットにしている。グループの名称は、合衆国憲法を支持し、擁護するために公務員が行う「宣誓」からきている。「オース・キーパーズ」の合衆国憲法に対する忠誠の主張は、政府内の邪悪な意図を持ったエリートたちという主張に関する陰謀論に彼らが取りつかれていることによって矛盾している。ローズは、しばしばこれらの陰謀論を「インフォワーズ」でとうとうとまくし立てた。
2020年の夏にかけて、「オース・キーパーズ」は、表向きは全米での抗議集会でボランティアによる警備の役割を果たすための武装グループを組織した。「オース・キーパーズ」は、新メンバーを集めるために抗議運動を利用した。彼らはまた、これらのイベントに関する調整を行うことで、筋肉の動きを脳に記憶させるよう、マッスルメモリーを鍛えた。例えば、「オース・キーパーズ」は、国内のいくつかの都市での軍事演習を主導するために、後に1月5日と6日に「オース・キーパーズ」の活動を調整したマイケル・グリーンを採用した。2020年の早い時期において、新型コロナ関連のロックダウンに反対する抗議行動は、さらなる成長とネットワーク構築の好機として役立った。「オース・キーパーズ」の弁護士であるケリー・ソレルは、2020年の始めにテキサス州オースティンのロックダウンに対する抗議運動で「オース・キーパーズ」に出会った。ソレルは、これらの新型コロナ関連イベントが異なる極右グループが「一体化する瞬間(coalescing moment)」であったとみなした。
「盗みを止めろ」運動は、「オース・キーパーズ」が彼らの影響力を増大させるもう一つの好機となった。ローズは、盗まれた選挙という陰謀論を繰り返して強調した。2020年11月10日、彼は、「オース・キーパーズ」のウェブ・サイトに「行動のための呼びかけ」を掲載し、選挙が盗まれたと主張し、彼に追随するフォロワーに対して今回の選挙を決して合法的な選挙として認めないこと、さらにバイデンを合法的な勝利者として認識することを拒否することを強く勧めた。
「我々国民が行うべきこと」というタイトルの章で、ローズは、「アメリカも愛している、セルビアからの愛国者」を引用した。セルビア人著者は、彼の同胞が政治革命をどのように促進したかについて記述した。記述の一部は、米国連邦議事堂への襲撃を予兆していた。:
「…数百万人が我が国の首都に集まった。彼らをストップするための十分なバリケードはなかったし、彼らをストップするという強い意志を持った警察もなかった。警察と軍は、初期の数時間の対立の後、人々と連携した。我々は、国会議事堂を襲撃した。そしてでたらめな国営テレビ局を焼き払った。我々が勝利した。」
「オース・キーパーズ」は、「反乱法」に取りつかれており、同法をトランプ大統領が権力の座にしがみつく一つの方法であるとみなしていた。ローズは、他のアメリカ国民がトランプ大統領の統治を受け入れることを拒否した後に、トランプ大統領が法を執行し秩序を維持するために「オース・キーパーズ」のような民兵を強化することができると信じていた。
実際に、トランプ大統領は、2020年夏に、抗議行動を鎮める可能性がある一手段として「反乱法」に真剣な関心を持ったことがあった。ローズは、その時に同法が発動されることを願ったが、その後もその思いをあきらめなかった。上述したように、ローズは、12月12日のワシントンにおける彼の演説においてトランプ大統領に「反乱法」を発動することを呼び掛けた。
その日、ローズはまた、「ジェリコの行進」の主催者とセキュリティを提供する調整を行った。彼は、退役陸軍中将マイケル・フリンとパトリック・バイルンを含むVIPの警護のために「修正第1条プレトリアン」として知られる民兵組織グループと調整を行った。(訳注:プレトリアンとは、ローマ帝国 において 皇帝 を守るために組織された直属の精鋭部隊である。 日本語では「 近衛隊 」、 「近衛軍団」、「護衛隊」、「親衛隊」 などと訳される。WikiPediaによる。)ローズは、「オース・キーパーズ」がそのイベントにむけて彼らと密接に協力することになることを示唆した。
「オース・キーパーズ」は、トランプ大統領に対して2020年12月中ずっと「反乱法」を発動することを要請し、「盗みを止める」ためにそうする必要があると主張した。この奇抜な思い付きは、ゆがんだ現実感を反映していた。ローズは、トランプ大統領が選挙に敗れた後に大統領の地位に留まろうと試みる場合には、反乱を抑圧するために「オース・キーパーズ」を含む「未組織の民兵たち」を動員することができたと、委員会で証言した。しかし、反乱を行うことを考慮していたのは、「オース・キーパーズ」自身であった。2020年12月10日、ローズは、メッセージを送った。「トランプが立ち上がり、中国共産党の傀儡のクーデターを打ち負かすために「反乱法」を発動するか、そうでない場合には、我々が中国共産党の傀儡であるバイデンに対する反乱で立ち上がらなければならない。そのいずれかを自由に選べ!」
ローズは、「オース・キーパーズ」に対するそれ以外のメッセージにおいて単刀直入であり、次のように書いた。「我々は、トランプが彼の責務を果たすよう後押しをしなければならない。彼が行わないなら、我々が我々の責務を果たす。独立を宣言しろ。拒否し、抵抗し、防御し、勝ち取ろう、そうでなければ、死を。これが我々の態度である必要がある。」
6.4「トランプがワイルドになると言った!!!ワイルドになるだろう!!!」
「プラウド・ボーイズ」が1月6日に関する彼らの計画を練り始めたとき、「オース・キーパーズ」のフロリダ支部の指導者であるケリー・メッグスが接触してきた。過去においては、「プラウド・ボーイズ」と「オース・キーパーズ」は、意見が異なっており、2020年夏の抗議運動中にお互いの戦術と価値観を非難し合っていた。しかし、12月19日のトランプ大統領のツイートが、二組の過激派のライバルたちに共通の目標のために協力する機会を提供した。
トランプ大統領のツイートの後、メッグスが、エンリケ・タリオに電話をした。彼らは、3分25秒間話をした。メッグスはまた、フェースブックにメッセージを送り、彼が「オース・キーパーズ」、「フロリダ・スリー・パーセンターズ」そして「プラウド・ボーイズ」の間に構築した同盟関係について自慢して次のように述べた。「我々は、協力し、これ(連邦議会?)を閉鎖すると決めた。」「オース・キーパーズ」も、彼ら自身の計画を作っていた。「「オース・キーパーズ」のトップのローズは大変失望していた。」と、ローズの部下の一人であるロベルト・ミヌタは、12月19日に誰かにメッセージを送った。「ローズは、今が行動開始の時であり、平和な抗議の時は彼にとっては終わったと感じたようだ。私は、昨晩彼と話をした。」ミヌタは、扇動共謀罪とその他の罪で起訴されている。
その日以降の日々で、「オース・キーパーズ」は、暴動に関する計画を作成した。
彼らは、移動に関する計画を議論し、携行する戦術装備品に関する情報を交換し、ワシントンDC地区に着いた後での彼らの計画を策定するためにメッセンジャーソフトウエアの「シグナル」で暗号化したチャットを利用した。
2020年12月21日、ジョシュア・ジェームズが、同グループに対してメッセージを送り、次のように述べた。「サウス・イースト地方は、「1月6日に関する全米行動要求」を設定しつつある。4州で動員を行っている。」メッグス、ローズそしてその他は、1月6日に備えた調整を行うために異なるチャットグループを設けた。
12月22日、メッグスは、フェースブック上でのトランプ大統領の誰かに対するツイートをおうむ返しした。:
「トランプは、それがワイルドになるだろうと言った!!!それがワイルドになるだろうと言った!!!トランプはそれがワイルドになるだろうと言った。それが彼の言ったことだ。彼は、我々全員に対して連邦議事堂に集まるようにと呼び掛け、そしてワイルドなることを望んだ。サー、イエス、サー!!!諸君、我々はワシントンDCに向かうのだ!準備したまえ!!」
メッグスはまた、「オース・キーパーズ」は1月6日にワシントンDCに50名から100名のメンバーを送ることになるだろうとも書いている。
「オース・キーパーズ」は、1月6日に関する計画を議論するために定期的にグループ・ビデオ会議を開催した「オース・キーパーズ」の元メンバーのリチャード・ドッカリ―は、12月31日前後に行われた1月6日に関する計画に具体的に関連したビデオ会議に関して特別委員会に証言した。通話中、「オース・キーパーズ」の指導部は、ロジャー・ストーンのような極右の著名人たちに対する警護を提供する計画を発表した。彼らが 警護を提供している間に何らかの問題が発生した場合に備えて、「彼らを救出し、武器を携行することとなる緊急即応部隊がバージニアに居る。」
ローズは、2020年11月の「インフォワーズ」での話の中で、「オース・キーパーズ」がワシントンDCの外側に「緊急即応部隊」を設置したと発表した。トランプ大統領が「ワイルドな」抗議について発表した後、同グループが進めた調整は、彼らの「緊急即応部隊」と1月5日と6日のVIPに関するさまざまな警護と部隊終結地に関する詳細に関連した計画に焦点を絞るものとなった。ノースカロライナ、フロリダ、サウスカロライナそしてアリゾナからの「オース・キーパーズ」は、バージニア州ボールストンの「コンフォート・イン」に集結し、その場所を1月6日のための彼らの武器の保管場所に使用した。「オース・キーパーズ」は、1月6日のための緊急即応部隊に関し活発に意見交換を行った。「オース・キーパーズ」のローズと彼以外の構成メンバーは、バージニア州ビエナにある「ヒルトン・ガーデン・イン」に宿泊し、またそこにも武器を蓄えた。
ローズは、軍用攻撃兵器と装備を1月6日前の数日間に蓄えた。
12月30日、ローズは、2組の暗視装置と照準器1器を購入するために約7,000ドルを費やし、それらをワシントンDCに住んでいた集会の主催者であり、それ以前に「エリプス集会」での主催者と接触を持っていたマーシャ・レサードに送った。
1月1日と2日、ローズは、追加の武器と付属品を約5,000ドルで購入した。その翌日の1月3日、ローズとケリー・ソレルは、ワシントンDCに向けてテキサス州を出発した。移動中、ローズは、AR式ライフルと付属品の購入に追加で6,000ドルを支払った。1月4日に、ローズは、ミシシッピー州で最後の買い物を行い、さらに、照準器、雑誌そして武器のパーツを含む購入に4,500ドルを支払った。
1月6日の朝、武器を蓄えた後、ローズは、「オース・キーパーズ」の指導者たちの「シグナル」グループにメッセージを送った。:
「我々は、ワシントンDCの外側に十分に装備を備えた「緊急即応部隊」をいくつか配置した。そして、他のグループから多数の人々が集まっており、彼らは最悪のシナリオに備えて外側で、これを眺めており、待機している。」
6.5「踏み込み、必要とされることを行う準備を整えよ」
スチュワート・ローズと「オース・キーパーズ」の弁護士のケリー・ソレルは、1月5日午後にワシントンに到着した。彼らは、すぐに「フリーダム・プラザ」に行った。そこは、トランプ大統領が集会主催者に対し、彼の最も過激な支持者たちに演説する機会を与えるようにと指示した場所である。「オース・キーパーズ」の小グループは、「フリーダム・プラザ」を巡回する中で、トランプ大統領による動員の呼びかけの結果を見ることができた。ソレルは、そこには「オース・キーパーズ」、「プラウド・ボーイズ」そして「アレックス・ジョーンズのグループ」が群集の中に混じり合っており、彼らの間での違いはほとんど見分けることができないほどであったと証言した。
「オース・キーパーズ」は、その後、「フェニックス・パーク・ホテル」に向かった。同ホテルで、トランプ大統領の「大きな嘘」についての信念を共有した極右政治活動家たちの種々雑多な面々と飲食を共にした。その中には、「プラウド・ボーイズ」に関係を持っている「Latinos for Trump(トランプ支持のラテンアメリカ人)」のビアンカ・グラシア、「Vets for Trump( トランプ支持の退役軍人)」のリーダーのジョシュア・マシアス、バージニア州議会上院議員のアマンダ・チェースがいた。チェースがモデレーターとなったライブストリームにおける議論の中で、彼らは、選挙不正に関する主張を強化した。マシアスとローズは、トランプ大統領が「反乱法」を発動し、「踏み込み、なすべき必要があることを行う用意」ができている戦闘経験者を動員することを奨励した。
ソレルは、「連邦議事堂を急襲」しようとすることに関する話し合いはあったが、これは通常の話し合いであり、それが暴力あるいは「それに類する何らか」を示唆するとは思わないと、後に特別委員会に証言した。
その同じ夕刻、グラシアは、彼女が「プラウド・ボーイズ」の指導者エンリケ・タリオと会うことになっていたガレージまでついてくるようにソレルとローズに求めた。タリオは、拘留から釈放され、ワシントンDC地区から離れることを命じられていた。ワシントンDC地区から直ちに離れることなく、タリオは、他の連中が集まっていたホテル近くのガレージに向かった。その後の会合の部分は、ドキュメンタリ映画作成者ニック・クエステッドと彼のクルーによってビデオに収められていた。ソレルは、タリオの法的トラブルについて話し合うために参加することを求められたと主張しているが、会話が戦術に関するものとなったことを示唆する証拠がある。
タリオは、裁判所の命令について話をし、グループに対して、彼が彼の仲間の男たちに問題がないことを確保するために北のメリーランドに向かうと告げた。タリオは、没収された彼の電話についてグラシアと話をした。彼は、明らかに彼の電話で設定されている2要素認証コードに言及して、「彼らはその電話の中に入れない」と彼女に告げた。タリオはまた、もう一人の参加者である「トランプ支持の退役軍人」の指導者であるマシアスとも旧知であったように思われた。マシアスは様々な機会に彼の手をタリオの肩に置いた。
「オース・キーパーズ」の指導者であるローズ、「プラウド・ボーイズ」の指導者であるタリオそしてそれ以外の者たちの実質的な会話の多くは、タリオがクエステッドのカメラ・クルーにレコーディングを止めるように告げたことから聞かれることはなかった。しかしながら、会話の一部は、離れていても聞くことができ、ローズが「タイソンズ・コーナー」に3グループを集めているとタリオに告げていることが聞こえた。それは、トランプ大統領が「オース・キーパーズ」に任務に就くように呼び掛けた場合に備えてローズが配置した「緊急即応部隊」のことであった。
タリオは、ローズがガレージの集会に参加したことについての感謝を後に表明し、彼らの2つの組織が1月6日に団結することを強調した。タリオは、「「プラウド・ボーイズ」と「オース・キーパーズ」は二つの異なるグループであり」、彼とローズの仲は「うまくいっていないが、我々に違いにもかかわらず団結する必要がある場合には、彼が行ったことは賞賛すべきだ」と説明した。
タリオは、ローズは会合への警備をすぐに提供し、タリオの法律上の状況に関して「懸念したようであったので、ガレージでの会合にローズが出席したことは「思慮深いものであった」と付け加えた。選挙後のその他のイベントでの「プラウド・ボーイズ」と「オース・キーパーズ」との間の事前の調整であった可能性がある中で、タリオは、「私の仲間たちはこれまでに彼(ローズ)を助けたことがあり、私とローズはお互いに敬意を持っている」と、さらに説明した。タリオは、その後、メリーランド州バルチモア近くのホテルへと北に移動し、次ぎの日の事件までそのホテルに滞在した。
(「6.6 「ストーンの友人」」に続く。)