処女作その1 | 徒然小説長崎店

処女作その1

拝啓お母さん
先立つ不幸を許してください。今際の際にあなたの偉大さがわかったような気がします。
もとはといえば修業のためという名目で家を出てお姉ちゃんのいる東京を目指していたんだけど…
わたしは今、なぜか長崎の新地中華街というところにいます。ヒッチハイクで行こうとしたのがいけなかったのかな?

そんなこんなで私は今、近くの公園で飢えに苦しみながら途方に暮れています。
これからどうしょう…
まったく知らない土地でたった独りぼっち…

はっ、いけない!
とりあえずだれかに山形に帰る方法を考えなきゃ!
最期のちからをふりしぼって

あ、あのすみません!えっと、山形にいくにはどうすれば…。
あ、あれからだの力が…。なんだろう、何だかまわりがぐにゃぐにゃに… 



(ううっこんなことなら…家出なんて…しなけりゃよかった…)


 あ、あれ!私生きてる?でも、ここは?えっと、これは確かベッドだよね?
そこにあるのは私の荷物とさっきまで私が着ていた洋服、そして目の前にいるのは

年は私より一回りは年上のどこにでもいそうな、でも何かスポーツをやっていたのか身体はとてもがっちりしている、おそらく私を連れてきた男の人だった。
えっと少し冷静にならなきゃ。
あれ?なんだか重要なことを忘れているような気がする。
そうだ!私の格好は文字通り全裸でベッドのなかそこに男の人がいる。

逃げなきゃ!でもどうやって?
眠っていたから少しは力は戻ってる。だけどお腹は空腹で…しかも裸だよ。正拳突きで気絶させてその間に服を着替えて…
 そんなことを考えているとドアをノックする音が聞こえてきた。
「目が覚めた?まったく師匠の気まぐれにもこまったよ。何で道を聞いて倒れた人を道場まで運んでくるかなぁ?」