●タクシー車内
ショウ「(窓外を見ている)いつまで経っても自分中心。わざわざ来てやったのに礼の1つもない」
エミリ「(ショウの手に触れやさしくさする)やんなっちゃうね」
ショウ「こっちはボランティアだよ。仕方なくつき合ってんだ」
エミリ「かわいそう」
ショウ「(急にエミリを抱き寄せキス。胸をさわり服を脱がす)」
●空中
タクシーが山間部を飛んでいく。タクシーの窓はマジックミラーで外から車内は見えない。
N「食糧が安定して供給され、人が死なないとなれば人口は爆発的に増えるんじゃ?」
●モンタージュ
若いカップルたち。
N「危惧されたがそうはならなかった。理由はいくつかある。まずコミュニケーション用ロボットの普及で人間同士、人間の男女がつき合わなくなった。理想の相手をつくれるのにあえて難しい他者を選ぶことない。そして価値観の変化も大きかった。今ある命が永遠に生きられるのに新しい命をつくる理由は? 出産や育児で得られるものはあっても苦労をわざわざ買う物好きな行為と考えられるようになった。なにしろ生まれてくる命は何も選べない。生まれてくる環境も自分の能力も。容姿は整形手術で変えられても親になるというのは他者にある程度の運命を強いること、一種のエゴイズムという常識になった」