駅から会社に向かう途中、僕は公園を横切った。公園には桜の木があった。その桜はまだ咲き始めていなかった。寒さのせいか、まだ咲いていない桜の蕾がいくつもあった。





僕はスヤスヤと寝ていた。窓の外では小鳥達が話し合っている声が聞こえた。少しばかり僕は目が覚め始めたが、もう少しだけ寝ようと思いまた寝てしまった。しばらくして、何処からか僕を呼ぶ声が聞こえた。
「早く起きなさい、遅刻よ!」
僕には、誰が何を言っているのかまだわからなかった。そして、僕はまた眠り続けた。まだ目覚ましが鳴っていないから平気だと思っていた。またしばらくして、誰かが階段を上る音がした。その音は僕の部屋に近づいてきた。
「早く起きなさい、遅刻よ!」
母はそう言って僕を叩き起こした。
‘まだ目覚ましは鳴っていないはずなのに’
と思い、目覚ましを手に取ってみると。時計はすでに八時二十六分をさしていた。僕は急いで制服に着替え鞄を持って、階段を下りた。
「朝ご飯は?」
母が言った。
「ごめん、もう食べる時間がないからいいや。」
僕はそう言って、靴を履き自転車に乗って学校へと急いだ。何とか遅刻せずにすみそうだった。駐輪場に自転車を置き、走って昇降口に向かった。
「おはよう。」
後ろから夏海の声が聞こえた。夏海はニコニコしていた。
「おはよう。」
と僕は返した。
廊下を一緒に歩き教室へ向かった。夏海は同じクラスで、隣の席だった。何かの運なのか、三年間とも同じクラスで、毎年始めには僕の隣の席に夏海がいた。席について夏海が僕にこう言った。
「宿題やった?」
「うん。」
と僕は言った。鞄の中から教科書やノートを机にしまおうとした時だった、何か違うことに僕は気付いた。僕の鞄には、四日前の時間割の道具が入っていた。ふと思った、今日朝急いでいたため、鞄の中身を入れ替えるのを忘れていた。そのためゴールデンウィーク前の五月ニ日の時間割の道具が入っていた。その上、宿題も机の上に置きっぱなしと言う事にも気付いた。
「どうしたの?」
夏海は訊いてきた。
「宿題を家に置いてきちゃったみたいなんだ。今朝、急いでいたから。」
「あらら、どうするの?」
僕は困った。
「う~ん、どうしよう。」
「見せてあげようか?提出は五時間目だからまだ間に合うよ。」
夏海はそう言いい、ノートを渡してくれた。僕は凄く嬉しかった。夏海のノートを写している時にいくつか気が付いた事があった。昨日の夜に同じ問題を解いているはずなのに、自分が解いた答えと少し違っていることに。夏海が間違っている部分もしばしあったため、その部分を書き直しておいた。夏海の丸文字を真似するのは僕にとってちょっと難しい事だった。なんとか昼休みまでにノートを写し終わることが出来た。休み時間中に夏海にノートを手渡した。
「ありがとう。」
僕はそう言った。
「どういたしまして。」
と夏海が返した。
「少し間違っていたよ。」
「えっ。」
「直しておいたけど。」
「ありがとう。」
「夏海の丸文字を真似るのは難しかったよ。」
「そう?ごめん。」
「謝る必要はないけどさ。」
「そうだね。」
「うん。」
「エヘへ。」




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