ゆったりしすぎてしまったため、少し急いで家を出た。僕は鞄を片手に、会社へ向かった。僕はまだ免許さえ持っていなかった。そのため、通勤はいつも電車だった。僕が乗っている電車は、通うはずだった大学の前を通り、僕が働いている会社の最寄り駅へと向かった。





ある日の学校の帰り道のことだった。
「勉強してる?」
突然夏海が訊いてきた。夏海の横を僕は自転車を押しながら歩いた。
「期末テスト勉強?」
「ううん、受験勉強。」
「受験勉強かぁ、まだやっていないなぁ。」
「そっかぁ。」
夏海は何か言いたそうだった。
「最近、成績が伸びてないんだよね。」
「そうなの?」
「うん。」
「そっかぁ。」
「受験かぁ・・・考えてなかったなぁ。」
「考えてなかったの?」
「うん。」
「もしかして余裕?」
「そういう訳じゃないけど。」
「そっかぁ。」
「何か言いたそうだね。」
「えっ、・・・わかる?」
「うん。わかるよ。言いたい内容まではわからないけど。」
「そっかぁ。」
「どうしたの?」
少しの沈黙があった。しばらくして、夏海はこう言った。
「一緒に予備校に行かない?」
「予備校?」
「うん。」
「予備校かぁ・・・。」
夏海が僕の顔を窺った。
「親に相談してみるよ。」
「本当?」
「うん。」
「一緒の大学に行けたらいいね。」
「うん、そうだね。」
夏海の顔が笑顔に変わった。
「なんか嬉しそうだね。」
「エヘへ。」




無料カウンター