残ったままのドーナツの箱を開けて見ると、そこにはチョコレートのかかったドーナツが一つあった。





朝起きて想った、今日は気が重い。そう今日はバレンタインデーだった。僕にとって無関係な日の一日だった。僕はこの日が嫌いだった。一度もチョコレートと言うものを貰ったことはなかった。いつもと同じように、僕は家を出た。学校に着き、自転車を駐輪所に停め、昇降口へ向かった。ほんの少しの期待が僕の胸をドキドキさせた。僕は右手で下駄箱を開けた。そこには上履きしかなかった。
’やっぱりないか’
僕は心の中でそう言った。教室に行き席についたが、僕の心はソワソワしていた。少しして、夏海が教室に入ってきた。
「おはよう。」
「おはよう。」
僕はニコッとした。夏海は席に座り、鞄の中に手を入れた。夏海は机の中に教科書やノートをしまっていた。僕は夏海の顔を見ていた。夏海は鞄の中を見て、一瞬驚いた表情をした。僕はそれを見逃さなかった。そのあと、夏海は困った顔をしていた。
「どうしたの?」
僕は夏海に訊いてみた。
「えっ、」
夏海は下を向いた。
「なんでもないよ。」
「そっか。」
僕は少し落ち込んだ。




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