僕は食パンを二枚オーブントースターに入れた。パンを焼いている間に、冷蔵庫からストロベリージャムとヨーグルトを取り出しテーブルの上に置き、台所からスプーンを取り出した。台所には、昨日買ったドーナツの残りがあった。
今日は、高校三年生の僕らにとって、高校生活で最後となる行事の文化祭の日だった。僕らのクラスはドーナツを売ることになっていた。クラスの中で、三グループに分かれてドーナツを売っていた。僕は夏海と一緒にグループになった。僕らの担当は午前中だった。初めのうち僕はサボっていた。だが、夏海にサボっているのを見つかってしまい手伝わざるを得なかった。しばらくすると教室には、お客さんが増えてきた。それは、時間が経つにつれて行列となっていった。ドーナツの数が少なかったのか、十一時半近くになると午前中に売る分のドーナツが完売間近になってしまった。僕のグループの中には、学級委員が一人いた。その学級委員は午前中の分のドーナツが売り終わったら、午後に売るドーナツも出そうと言っていた。十二時十五分前に午前中の分のドーナツが完売してしまった。学級委員が言った通りに、午後の分のドーナツを販売した。十二時になると、次のグループがドーナツの販売をすることになっていたので、僕らは当番を交代した。
僕は体育館の横にある階段の所に行った。自分なりに、ドーナツ販売でかなり頑張った方だと想っていた。そのため僕は疲れていた。心地良い秋風が吹く中、僕は階段の一番上で横になった。しばらくして携帯が僕を起こした。メールが届いていた。メールの送信者は夏海だった。
“何処にいるの?”
“体育館の横だよ。”
“体育館の横?お昼食べた?”
“お昼?まだ食べてないけど。”
“そっかぁ、じゃあ今から行くね。”
‘今から行くね?ん?’
僕はその時、このメールの意味がちょっとわからなかった。しばらくして、夏海が現れた。小さなビニール袋を片手に持っていた。その袋に僕は何か見覚えがあった。自分のクラスで売っていたドーナツを入れていた袋だった。
「ドーナツ買って来たんだ。」
夏海がそう言った。
「一緒に食べよ。」
「うん。おごり?」
夏海の頬が少し膨らした。
「いいよ。」
「ありがとう。」
僕がそう言うと、夏海の顔は笑顔に変わった。
「おいしい。」
「おいしいね。」
僕らは笑った。
「エヘへ。」
「エヘへ。」
「また真似してぇ。」
「可愛いよ。」
夏海の顔が赤くなった。僕も少し恥ずかしくなった。僕は下を向いていた。
「ねぇ、こっち向いて。」
夏海はドーナツの輪から僕を見ていた。そして、夏海は笑った。
「エヘへ。」