小説の世界
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小説の世界『三』

『アルフレッドの犬…。』

行って来ましたよ!広いですね。この世界。
で、なんですかアルフレッドの犬って?

『多分、書き始めて途中で止めた小説です。日増しに酷くなっている。世界一つまらない小説ですね。これは。護美とは良く言った物ですが、これは…。』

大丈夫ですか?

『ざま(あ)も無いことですが。疲れます。整理もせず、まとめもせずつらつらつらつら良く書きます。小説の世界の者は永遠にこの世界から出られませんから、もうこんな小説の世界嫌でも居なきゃ行けません。せめて、取捨選択や推敲ぐらいやってくれれば…。』

う~ん…。
頭の上を行く文字達を何の気無しに目で追いかけている。

『変わり映えしても文字ですからね…。』

僕はこの世界嫌いじゃないですけどね。
楽しそうに文章を読んでいる。

『変わり者、連れてきてしまいましたか…。』

楽しそうな文章ですよー!
文章を読みながら、かなり遠くまで行っている。

『こっちにとってはただの迷惑です。』

なにごとも人にまったく迷惑かけないことなんてありませんよ?
文字が小さくなってたので、虫めがねを使っていたが、最終的に顕微鏡を使っている。

『開き直ってもらっても困ります。』

目が痛いです…。

『文字が目の中入ってますね。取ります。』

疲れました。寝ます。

『マイペースもいい加減にしてください!』

じゃ。
電気を消す。

『この世界に電気なんかありました?』

あんまり気にしなくていいんです。こういうことは。

小説の世界『二』

『二週間前です。』
なんですかこの二週間前とだけ書かれた場所は。
『きっと面倒くさかったんですね。』
二週間前ってこれだけですか?
『これだけです。きっと古新聞ちょうど捨てたところだったんでしょうね。』
なんか…、この小説の世界が世の中に出る小説の中とは到底思えません…。
『だから言ったんです。世の中には小説書いて、自分で満足してそのまま家族にさえ知らせずに亡くなってしまう人も居るんですよ。ギネスに載ってる世界で一番長い小説はたしか作者の死後に発見されていますし。』
そんな小説家が居たとは…。
『人間は自分が納得さえしてれば、たとえ小説でも絵でも世の中に出さないで自己満足するものですから。』
じゃあ、本当に意味が無いのですか…。
『わかりません。世の中に出そうとしても結局出版されない小説もあります。この小説の世界がインターネットにでもつながって居れば別なんですが。』
インターネットですか…。インターネットかあ…。
『無理でしょうね。そもそも到底まともに読まれる小説とは思えません。世の中に出た為に悪影響を及ぼした作品だって多いですし。作者の意図と読者の受ける感覚は乖離しても仕方ないことではあります。それが人間ですし。それにあなたは人を助けようとしてますが生きてたら逆に不幸になる人だって居るのですよ。そんなこと言いたくは無いですが、世の中には様々な事情があって、その場所によっては助かったことによって、もっともっと苦しんでしまう人が居るのです。虐待や不治の病や介護など。生きて居て欲しい、けれど、もっと苦しむことになる誰にも責められ無い事情のある人たちが居るのです。あなたのやろうとしてることは自分勝手の独り善がりで無責任な自己満足の極みです。』
…でも、やっぱり死んだら終わりだよ。
生きてたら未来がある。
それに、人が亡くなって苦しんでる人だって居るじゃないか。
大事な親友や恋人や奥さんや旦那さんや子供を無くした人たちが。
それに助けられたら未来が変わるじゃないか。
とんでもない発明や病気の治療法、スポーツの記録や芸術作品がその人たちが助かったことで生み出されることもある。
迷宮入りの事件が解決されるかも…。
『それは本当に良いことなのか?』
え?
『本当に良いことだと思うのか?それが。』
良いことだろう?みんなが幸せになるはずだ。
『あなたはなんにもわかって居ない。その迷宮入りの事件の犯人が実は被害者にとって大事な人だったら?その大発明によって環境汚染が拡大することになったら?芸術作品によっては人を傷つけるかも知れない。世の中そう上手くは行かない。こっちを立たせば、あちらが立たない。バランスはおのずと保たれるように出来ている。』
君は本当にネガティブですね。
『私は世の中の摂理を言ってるまでです。自然界の法則では必ずバランスを保とうとするはずです。そういうものなのです。』
ああもう面倒くさい。
とりあえず、散歩して来ます。
『そうですね。少し外の空気を吸って…いや、外は熊谷なんですが。』
小説の世界を見て来ますよ。広そうだし。
『良いですが…。気をつけてくださいね。突然文字が降って来たり、飛んで来たりすることもごく稀にありますから。あと、時々使わない文字が落ちてる時もありますからね。』
わかりました。行って来ます。いてっ!
『だから気をつけろって言ったのに…。』

小説の世界

『本当にマジ疲れてんだよ。』
なんでですか?
『この世界は変わり映えしないんだ。ずっと、文字しかない。』
確かにずっと文字しかありませんね。面白くない。
『人を助けたところでただの文字列だ。『助けました。』『命を取り留めました。』そんな感じで本当に良いのか?』
ええ。良いんです。命が助かること以外に重要なことなんてありますか?
『ただの文字列なのにか?』
未来が変わるんです。この小説の世界は小説作品の中なんでしょ?
『どっかの小説作品の世界なんだろうな。考えたこともない。誰かが書いてるんだろうが。』
結局、意味の無いことなんてなにもないと思うんです。
『この小説を読む人間が居ればだがね。そもそも、この小説は世の中に出る小説とは限らないぞ?まあ、誰かが読んだところでそう世界が変わるとは思わない。受け取り手にゆだねられる結果ほどあやふやなものは、他に無い。』
しないことよりすることのほうが前に進むんです。なにもしなければなんにも得られない。
『わからんなあ。やれば良いならやるよ。ただ、どうなってももう僕は知りませんよ?不確定要素もいっぱいあるんですから。』
じゃあ…また、人を助けに…。
『今度は何日前に?』
え~と、じゃあ、15年前に。
『いきなりそれは無理です。15年前の資料が無いと書けませんから。』
わかりました。二週間前なら大丈夫ですか?
『ええ。仕方ない。』
続く。