口に海水が入り、塩辛くてすぐに吐き出す。
でも、顕微鏡でみたら、無数の生き物が海水にはいるのだろう。
もう何十年も海原を漂っていた。なかなか沈まない。今ではそういうもんだろうと思う。
16年目。16年前を上回る苦しみはもうないだろうと思っていた。でも、上回る苦しみは、僕の物語には存在した。
底なしだ。僕はいつだって地に足が着いていない。海の底にも地があるはずなのだが、いつもいつでも、いつまでも、脚をバタつかせて足の指先は、その地に触れることを求めているのに。
夜を好む。闇は視力を奪い、視界を遮る。すると、五感が疼き、渇望するように研ぎ澄まされる。
いろんな思いが胸にやってきては、去っていった。僕は間違いばかりしてきことに気付く。人を傷つけてばかりだ。
たぶん今もそうなんだろう。今もどこかで、僕のせいで誰かが苦しんでいる。そう思うとき、「戻ってやり直すことできなんだ、絶対。申し訳ない。」と僕は誰かに詫びた。
僕は間違いをするたびに、もう必ず間違いはしない。和太鼓を太いバチで目一杯打ち込むように決意してきたのに。何度も、何度も。
叔父は、亡くなる直前、「今まで良いことなんて、一つもなかった。」と呟いた。兄である僕の父は、「そんなことない!」と憤った。その時、父は弟と原付で横浜まで弾丸2人旅をしたことを想い出したのだろうか、僕は幼い頃、年に何回か叔父の家に泊まった楽しい記憶が蘇っていた。
でも今は、叔父の気持ちがよくわかる。
