東京五輪が1年程度の延期になったことを受けて、すでに内定者が決まったマラソン代表に関しては、
やはり再選考はしない方針であることが明らかとなりました。
本当に1年程度の延期で済むのか、その問題はさておき、
1年間の猶予が生まれたことは日本勢にとってはかなりプラスになるのではないかと思われます。
3月のレースで激走したばかりの大迫傑選手と一山麻緒選手については、
果たして今から約4ヶ月の間にその疲れをリカバリーできるのかどうか不安でしたし、
ニューイヤー駅伝で故障した服部勇馬選手や、2月の熊日30キロを故障で欠場した鈴木亜由子選手などは、
おそらく万全の状態で8月の本番を迎えることは微妙だったことでしょう。
また、中村匠吾選手も予定していた3月末の世界ハーフが延期となって、プランの大幅修正を迫られていたところでした。
前田穂南選手に関しては2月の青梅の30キロレースで日本記録を更新するなど絶好調だっただけに、
今年五輪を走らせたかったところでありましたが、いずれにせよこれから札幌コースの対策を練る時間ができて、
そうした地の利が生まれることは、日本勢にとって大きなプラスとなることは間違いありません。
女子は5千mも1万mも複数の選手が参加標準記録を突破していますが、男子は1人もおらず、
2017年と2019年の世界陸上に続いて、3大会連続で世界大会に代表選手を派遣できないところでありました。
日本陸連の方針もあって、多くの有力長距離選手がマラソンにシフトしていたため、致し方のない部分もあったのですが、
これからは逆にトラックにシフトさせるように陸連が導いて、
例えば1億円とはいかないまでも、男女の5千mと1万mの日本記録更新者にはボーナスを与えて、
今後1年間はトラックを徹底して強化していく期間にしていけばよろしかろうと思うのであります。
その結果、男子であれば多くの1万m27分台ランナーが生まれて、大迫傑選手並みの持ちタイムを皆が持てば、
マラソンの記録も今よりもさらに1段階上昇して、2時間4分台、5分台が当たり前の状況となり、
いよいよ2024年のパリ五輪の頃には日本も堂々とメダルを狙うと宣言できる陣容が整うことになることでしょう。