錯覚 古い神社の境内の 暗くて涼しい空気の中 汗ばんだ身を 休ませた 外の光が 白く 熱く 焼けて 焦げて 見えた 一瞬 見知らぬ人の姿 が 顕れたと 振り返る 身構えた軀 力を抜き 薄暗がりに 身を鎮める 胸の鼓動が 治る迄 昔 此処に 逃げのび生きた 誰か が きっといた筈だ 白くて 熱い 外の景色が そう 話かけてきた 暗闇の中へ 瞳を凝らす 祈るような 憶いを込めて