派遣労働者などワーキングプアを産み出した原因とは 2008年07月12日10:10 労働者派遣法改正

派遣労働者や請負労働者などの
ワーキングプアを産み出したのは、

小泉純一郎元首相と
竹中平蔵元内閣府特命担当大臣(金融担当、経済財政政策担当)

のコンビによる構造改革だという意見があります。
派遣労働者の待遇などの問題について、
避けては通れないテーマだと思いますので、
派遣問題と小泉・竹中改革の関係について検証してみましょう。

2004年、当時の小泉首相が大企業の人件費カットのため
労働者派遣法を改正し、
工場の生産ラインへの人材派遣が可能となりました。
この労働者派遣法の改正が格差拡大の決定的な要因ともいわれていま す。
2004年の労働者派遣法改正以前は、
工場労働者は季節工としてそれなりの報酬を稼ぐことができました。
しかし労働者派遣法改正により、
工場労働者はコンビニのバイトのような待遇で
雇用されるようになってしまったのです。
そのことを可能にしたのが改正後の労働者派遣法です。

改正労働者派遣法が施行されてから
派遣労働者の雇用環境は劣悪なものとなりました。

厚生労働省の資料によると、
全国の派遣労働者の総数は321万人(2007 年3月末)で
対前年比26%もの増加。
平均賃金は時給1,321円ですが、
労働者派遣法改正以前は派遣の平均賃金は
94年で1,704円、2001年で1,465円ですから驚くべき下がり方です。

派遣労働者の場合、派遣会社の借り上げ寮に住んでいると、
なけなしの給料から寮費として家賃、光熱費、クリーニング代や、
カーテン代まで引かれることがあるそうです。
また、
失職することは住む家を失うということ=「住所不定」を意味します。

現在の日本でこの「住所不定」はどういう意味を持つかというと、

定職につくことはおろか、
生活保護すら受けられないという現実に直面するのです。

わたしの周りには、
派遣労働者からホームレスになった人や、
学生時代のアルバイトと変わらない給料で
派遣社員を続けている人が います。

そのような派遣職員としての低賃金も、
雇用の不安に怯える不安定な日々も、

「自己責任」

の一言で政府や世間から切り捨てられる彼等には
明日への希望などありません。

小泉・竹中コンビの規制改革は、
市場主義経済の名の下にいたずらに
競争を煽り
破れた者は「自己責任」
と切り捨てる格差社会を産み出し、

「自分さえ儲かればいい」
「他者の痛みなど感じない」

という自己利 益追求のいびつな社会を作り上げたのです。
これが小泉元首相が推し進めた新自由主義という
思想哲学の構造改革ですよ。
その結果、多くの若者が自分を責め、
心を病み、自ら命を断ってきた のです。
福田現政権は、今年度中にも労働者派遣法を再度改正し、
派遣労働者の雇用条件の改善に取り組む姿勢を見せていますが、
一方で小泉・竹中コンビが策定した改革路線は継承するといっていま す。
これって何か矛盾していませんか?
労働者派遣法の再改正が必要だということは、
そもそもその改革路線自体が間違っていたということなのではないの ですか?
目先のつぎはぎみたいに労働者派遣法だけを改正しても、
社会構造そのものを変革しない限りは、
何も変わらないのではないでしょうか?
労働者派遣法の再改正なんて、
政府のただのアリバイづくりじゃないでしょうか。
もう一度、この国のあり方について国民全体で考える時期だと思いま す。