「TPPで発展!」の勘違い

1.「農業のために工業を犠牲にしていいのか」のウソ

かつて前原外務大臣(当時)は、
「農林水産業のGDP比 はわずか1.5%。
この1.5%を守るために、残りの98.5%を犠牲にしていいのか」
という意味の発言をした。

この発言が盛んにマスコミに取り上げられたもんだから、
TPP反対=農業を守ること←→TPP推進=工業輸出を伸ばすこと、と勘違いしちゃってる人がすごく多い。

日本はコメに高い関税をかけてる(700%以上)。

TPP に入ると、関税がなくなって、
外国から安いコメがたくさ ん入ってくるだろう。
安いものに飛びつく消費者は多いから、

日本のコメが売れなくなって、日本のコメ農家には大打撃だ。
だから、TPPは日本の農林水産業に打撃を与える、
というのは間違ってない。

でも、TPPに入らなかったら、
残りの98.5%は本当に犠牲になるのかな?

日本が輸出で稼げるものといえば、

自動車、
家電製品など
(「耐久消費財」と呼ぶよ)が主。
では、耐久消費財の輸出額はどれだけかというと、

GDP比1.652%しかない (2009年度)。

なんだ、農林水産業の1.5%とたいして変わらないじゃん!
てことがわかる。


輸出業全体でもGDP比は11.5%しかない。
残りの98.5% が犠牲になるなんて、大ウソ。

国内でのサービス業(GDP比20.8%)や
卸売・小売業 (同13.1%)の方が、
日本経済で大きな比重を占めている。
日本は貿易で食べている国というよりも、
内需(国内 の需要)でもっている国なんだ。