やらせメールで賛否逆転 玄海原発再開問うテレビ番組 朝日新聞 7月14日(木) 3時03分

九州電力の「やらせメール」問題で、
玄海原子力発電所(佐賀県)の 運転再開に理解を求める
国主催のテレビ番組に、九電関係者が送った賛 成意見が
130件を超えていることがわかった。
番組では賛成が反対意見 を上回ったが、
やらせ分を除くと賛否は逆転し番組の信頼性が大きくゆ がめられていた。
社内調査では、原発部門トップだった前副社長が
「番組で反対意見が 多いと困る」
という危機感から、
やらせにつながる指示を部下に出して いたことも判明した。
九電は14日にも公表する調査報告で、
原発部門が 中心になって組織的な世論操作が行われていたことを認める方針だ。
国によると、
6月26日の番組に電子メールやファクスで寄せられた意 見は
賛成286件、反対163件、その他140件。
九電グループ社員らが送っ た分を除くと賛成は150件程度に減り、賛否が逆転する。
九電は問題が発覚した当初、
関係者が番組に送った意見は約50件とみ ており、
「全体からすれば多くない」(幹部)としていた。
ところが佐 賀支社など原発部門以外の社員も送っていたことがわかり、件数が3倍 近くに増えた。
番組を主催した経産省資源エネルギー庁は
「やらせがあったこと自体 が遺憾だ」として、
九電に厳格な調査を求めている。
社内調査によると、
前副社長は番組を運転再開のきっかけにするた め、
部下だった執行役員らに
「番組に協力して、議論を盛り上げてほし い」などと命じた。
こうした意向を受けて、原発部門の課長級社員が6月22日付のメール で、
再開容認の立場で県民の共感を得る意見や質問を番組に送るよう指 示していた。
前副社長らは
「やらせは指示していない」と主張しているが、
調査報 告では実質的な指示が認定され、責任の明確化が求められる。
執行役員 ら原発部門の現職幹部も、
鹿児島県議会で組織的な関与について繰り返 し否定しており、
発言の責任が問われそうだ。
また運転再開問題を議論した8日の佐賀県主催の
「県民説明会」で も、九電がグループ社員に参加を呼びかけていたことも報告に盛り込 む。
情報提供:朝日新聞