悲しみの中で…
上り坂のお散歩コースを、上から下りて来られる人がありました。
左手に黄色い花を持ち、深めの帽子をかぶって歩いておられるご婦人でした。
すれ違う時に、どなたと出会ってもそうするように、私達は軽く会釈をして挨拶をしました。
「こんにちは。」
通り過ぎる時、私は『さくらちゃんのおかあさんだわ。』と思いました。
さくらちゃんとは、雑種の犬の名前です。
さくらちゃんの別荘は、我が家の近くにあり、さくらちゃんと、おとうさん、おかあさんの3人(?)で一年に何度か来ておられました。
「あのね。」 今日は、ご婦人が話しかけてこられました。
「5月に、さくらが亡くなりました。糖尿病だったのですが、私が糖尿にさせてしまったんです。その日以来、髪を染めるのをやめました。もう、真っ白になりました。」
さくらちゃんへのお詫びの気持ちが伝わってきました。
いろいろなお話を、10分くらいもしたでしょうか。
淋しくて、悲しくて、切なくて、話さずにはおられないので、是非聞いてくださいというお気持ちだったのでしょう。
「今でも鼻水が流れるのです。」
そんな風におっしゃるご婦人の目に光る涙が、悲しみの深さを物語っているようでした。
以前から主人が言っていました。
「あのご夫婦は、僕たちがさくらちゃんに話しかけた後、必ず、『声を掛けてもらって、良かったね。』と、さくらちゃんに話しかけておられるね。さくらちゃんは、しあわせだね。」
さくらちゃん亡き後、静岡からお二人でこられた今回の旅は淋しいものだったのでしょうけれど、
さくらちゃんも、車にそっと乗ってきていることでしょう。
「私は、まもなく85歳になります。主人も88歳になりました。」
そして、「今度、家に遊びにいらしてください。」とおっしゃいました。
道沿いの庭先に咲いていました。
左手に黄色い花を持ち、深めの帽子をかぶって歩いておられるご婦人でした。
すれ違う時に、どなたと出会ってもそうするように、私達は軽く会釈をして挨拶をしました。
「こんにちは。」
通り過ぎる時、私は『さくらちゃんのおかあさんだわ。』と思いました。
さくらちゃんとは、雑種の犬の名前です。
さくらちゃんの別荘は、我が家の近くにあり、さくらちゃんと、おとうさん、おかあさんの3人(?)で一年に何度か来ておられました。
「あのね。」 今日は、ご婦人が話しかけてこられました。
「5月に、さくらが亡くなりました。糖尿病だったのですが、私が糖尿にさせてしまったんです。その日以来、髪を染めるのをやめました。もう、真っ白になりました。」
さくらちゃんへのお詫びの気持ちが伝わってきました。
いろいろなお話を、10分くらいもしたでしょうか。
淋しくて、悲しくて、切なくて、話さずにはおられないので、是非聞いてくださいというお気持ちだったのでしょう。
「今でも鼻水が流れるのです。」
そんな風におっしゃるご婦人の目に光る涙が、悲しみの深さを物語っているようでした。
以前から主人が言っていました。
「あのご夫婦は、僕たちがさくらちゃんに話しかけた後、必ず、『声を掛けてもらって、良かったね。』と、さくらちゃんに話しかけておられるね。さくらちゃんは、しあわせだね。」
さくらちゃん亡き後、静岡からお二人でこられた今回の旅は淋しいものだったのでしょうけれど、
さくらちゃんも、車にそっと乗ってきていることでしょう。
「私は、まもなく85歳になります。主人も88歳になりました。」
そして、「今度、家に遊びにいらしてください。」とおっしゃいました。
道沿いの庭先に咲いていました。