新店舗出店のサポート・コンサルティングを生業としていますが、店舗出店の契約交渉・クロージングと、契約条件更改交渉を900件近く係わってきました。
新店舗の契約書の場合、当事者がお互いに持っている主義・主張、契約書雛型のすり合わせ作業となり、条文の調整にも時間と労力を注がなければなりません。
それに対し、更新や契約条件更改の場合は、条件変更の交渉が仕事の大半となり、交渉・変更の成果を表わす「覚書」は重要な書面であるにも拘らず、ややもすると論点が分かりにくい書面になりがちです。
覚書に表す内容は、「変更点」ですから、その部分が明快になればよいわけで、契約書にありがちな周りくどい表現は避けるべきだと思っています。
例えば、更新の覚書において・・・
①「更新期間は、原契約第○条に規定する契約期間の終了日の翌日を起算日として満●年とする」
②「更新期間は、原契約○条の規定に関わらず○年○月○日から○年○月○日までの●年とする」
明らかに②の方が明快です。(文字数は同じです。①であると、原契約書を引っ張り出してこないと更新期間が分かりません)
原契約を引き継ぐところ、打ち消すところ、新しい決めごと、この3点を明快に表現することがポイントなのですが、残念ながら一見では分かりにくい書面も散見します。
賃貸借契約は長期にわたる関係を取り持つものです。長い時間の中で、当事者・担当者が変わることは当然に想定すべきであり、簡潔・明瞭が約定書面作成の最重要ポイントだと考えます。
ではまた。