『じゃんけん』 | クドのわふわふ>ω</ブログ

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作詞や作詩、たまに小説書いたり論文書いたりしてます

神様に楽園を追放されたとき
僕らには2つの手がもたらされた
かつて禁断の果実をもぎりとったその手は
誰ともつながれず 何にもつながらず
宙ぶらりんで さまよう事を言い渡された


最初は グー


戦わなければならなかった
誰かと会うときも 何かを見つけたときも
恐怖と悲しみに手を握り締め
耐えるときも 壊すときも
握りこぶしは丸い形をして


その後いくつものことがあった
それははさみで紙を切ることを知ったようなこと
それは紙で固い石を包むことを知ったようなこと
はさみで岩は切れないと知ったようなこと
ひとりの世界が終わったということ


いくつもの争いがあった
茶色い戦争や 裏切りや
悪魔を見つけた人の正義の戦いや
パーはグーを丸め込んだ ずっと力を込めていなければならなかった
チョキはパーを切り裂いた 血が滴り パーの手は使えなくなった
グーはチョキを打ち砕いた でもその分だけ傷ついた
それでも僕ら 新しい相手を探しては 始めてしまう


じゃんけん ぽん


数千年先の未来なんてわからないけれど
数千年前の人の数千年先の未来はこんなものでした
僕ら まだ傷つき足りないらしい


あいこで しょ


終わらない
握りこぶしと握りこぶしはお互いにぶつかって傷つけあうばかりで
いつまでも争いは終わらなかった
終わらない
ピースサイン同士はお互いに組み合うことはできたけれど
指2本じゃ強くつながることはできなかった
開いた手と手 つながろうとしたけれど号令がかかる


あいこで しょ


悲しい宿命 答えはもうもたらされているのに
大昔のルールに縛られたまま 僕ら
争うことが正義だと思いたがる
勝ち取れ 打ち倒せ
そうして僕らは自分の半身を削り続ける
神様のプログラムの中 力を持ちすぎないように


開いた手と手 パーとパー
握りこぶしを包んでいるよりうまく もっと強く繋がれるのに
勝負なんてつかなければいい あいこのままで繋がっていたい
誰も自ら傷つくな その手は探しているはずだ
傷つくよりも もっと心地よいことを


あいこで しょ


ずっと昔に 切り離されて
答えに見てみぬ振りをしながら さまよう事をやめようとしない
繋がろうとする手 また号令がかかる


あいこで しょ