ストーリーで学ぶ地球環境問題【大好きな地球を大切に】第11日-地球温暖化とは?~温室効果ガス | ひとも地球もサステナブル!

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★ストーリーで学ぶ地球環境問題


☆☆大好きな地球を大切に☆☆



【第11日】:

第2章 
地球温暖化はもう始まっている

地球温暖化とは?

「さっき、私が『南極の水が氷に
なってじっとしているから、陸上の
人間が安心して暮らせる』という
ようなことを言ったけど、実は少し
事情が変わってきたんだ」


「えっ、どういうことですか?」

2人が声をそろえて聞きました。


「実はね、地球温暖化の影響で氷が
解けたり、氷のかたまりが南極から
離れて南氷洋に流出し始めている
んだ。

一郎くんは、地球温暖化のことは
聞いたことがあるよね?」

大南先生が一郎くんにたずねました。


「図書館で調べてきたので、少しは
知っています。

確か・・・・・・地球温暖化って、二酸化
炭素などの温室効果ガスが大気中で
増加することで温室効果が高まり、
地球の気温が上昇していく現象の
こと
をいいます」

一郎くんが、教科書に書いてある
ことを思い出して答えました。


「そうだね。ところで、尚子さん、
今の説明で分かるかい?」

大南先生が、尚子さんに聞いて
みました。


「ぜーん、ぜーん分かりません!
おにいちゃんも本当に分かってる
のかしら」

尚子さんがいたずらっぽい目で
一郎くんに目をやりました。


一郎くんは、恥ずかしそうに目を
伏せました。


「それでは、南極の話をする前に
地球温暖化について考えて
みようか?」

大南先生が、一郎くんの気持ちを
察して提案しました。


「お願いしまーす!」

一郎くんは、大南先生の言葉が
終わるか終わらないうちに、大声で
頼みました(助かったぁ~)。


「こちらこそ、お願いします。
分からないことが出てきたら、
何でも質問してもいいからね」

大南先生がやさしい表情で説明し
始めました。


「まず初めに言っておきたいことが
あるんだ。

地球温暖化は、確かに地球の
温度が上がっていくことなんだけど、
気温が上がるといっても、地球
全体が同じように暑くなるわけでは
ない
んだよ。

地球温暖化で上がるのは平均気温
だよ。

地球温暖化って、世界的には気候
変動
と呼ばれていてね、異常な
暑さと暖冬、干ばつと集中豪雨などの
異常気象がひんぱんに現れながら、
地球の平均気温がだんだん上昇して
いく
こと
を言うんだよ」


◆温室効果って?

「ふーん、地球温暖化が起これば
暑くなるだけかと思ってた。

そしたら、寒い夏になったとしても
地球温暖化がなくなったわけでは
ないのね」

尚子さんが自分の誤解に気づいて
言いました。


「いいところに気がついたね。むしろ
地球温暖化が進めば進むほど、
異常に温度の低い夏にもなりやすい

と考えた方がいいと思うよ」


「ところで先生。ボクはさっき温室効果
という言葉を使ったけど、実はあんまり
よく分からないんです。

温室効果について教えてください」

一郎くんが思い切って頼みました。


温室効果とは、温室の中と同じように、
地球の大気を暖める働き
のことを言う
んだ。

温室効果を起こさせる気体を温室
効果ガスと呼んでいる
よ。

その代表的なものが二酸化炭素、
つまり炭酸ガスだ。

この二酸化炭素は、温室のガラスの
役目をしていると考えるといい。

温室のガラスは太陽の光を通し、
そして太陽の光が地面を暖めるんだ。

そうするとその上の空気が暖まる
よね。

空気は暖まると軽くなるので、もし
温室にガラスがなかったら上空に
熱が逃げていくだろう。

ところがガラスがあるために熱が
そこで溜められる。

そして次の日にまた新しい日差し
とともにエネルギーが入ってきて
ドンドン温室の中が暖かくなる。
これが温室のガラスの役目なんだ。

2人とも分かったかい?」

大南先生は説明が少し長くなりそう
なので、いったん話を止めました。


2人ともウンウンとうなずいている
ので、ふたたび話し出しました。

「ここで二酸化炭素を大気中の
ガラスだと思ってね。二酸化炭素は
太陽の光を通すんだよ。

そして太陽の光によって地面が
温められて、その上の空気が温め
られる。

そのとき、夜の間に地球の外に熱は
逃げていくんだけど、二酸化炭素が
あるとそこに熱をためてしまい、また
その熱を四方八方に放出する
という
わけなんだ。

これが毎日続けば、地球の温度が
だんだん上がってくるのは当然
だよね」


「でも今の話だと、二酸化炭素が
空気中にあると永久に温度が
上がって、水が全部沸とうしてしまい
そうだけど」

尚子さんが不思議そうな顔をして
聞きました。


「尚子さんは鋭いね。
でも、今のところ空気中の二酸化
炭素の濃度はすごく薄いから、水が
沸とうするような温度にはならない

んだよ。

でも二酸化炭素の濃度がくなると、
気温が上がることは確かだよ」。


「ところで尚子さん、今地球の平均
気温は何度だか知ってるかい?」


大南先生が尚子さんに突然質問
しました。


「えっ、そんなこと知りません」


「実は、だいたい15℃くらいなんだ。
・・・・

さて一郎くん、もし空気中に二酸化
炭素などの温室効果ガスが含まれて
いなかったら、地球の平均気温は
何度になると思う?


今度は、一郎くんに質問しました。

「いや、あの、ぜんぜん想像も
つきません」


「正解はマイナス18℃だ」

大南先生がクイズの司会者のような
口調で言いました。


「本当ですか? 
それじゃ、地球は氷のかたまりに
なっていたかも知れないのですね。

ボクも氷のなかに閉じ込められて
いたに違いない

温室効果ガスに感謝しなければ・・・・」

と言って、一郎くんは自由に動き
回れる今の幸せを実感しました。


 


「それどころか、すべての水が凍って
いたとすると、たぶん地球上に生物は
ほとんど生まれなかっただろうね。

温室効果のおかげで、地球が生物の
棲める星になった
ことは確かだと思うよ。

・・・・それじゃ、話のついでにもうひとつ
問題を出そう。


今、この地球の大気中には二酸化
炭素がどのくらいの割合で含まれて
いると思う?

「・・・・・・・・・・」二人は無言でした。

もちろん想像もできませんでした。

「むつかしいよね。
実は、大気中の二酸化炭素濃度と
いうのは0.04%
しかないんだよ。

少し前までは0.03%って言われて
いたけどね」


「0.04%って? 
何となく分かるような、分からない
ような・・・・」

尚子さんが迷っています。


0.04%というのはね、分かりやすく
人の数で言うと、1万人のうちの4人

ということだよ。

100人のうち4人で4%、1000人の
うち4人で0.4%、1万人のうち4人で
0.04%だね。

今のところは、すごく少ないってこと
が分かればいいよ」

大南先生が説明しました。


「それじゃあ0.04%って、ほとんど
ないのと一緒じゃない! 

そんなに少ない量で地球の温度を
マイナス18℃からプラス15℃まで
33度も上げていた
なんて驚きね」

尚子さんは心から驚いているようです。


温室効果ガスには水蒸気をはじめ
メタンやフロンなどもあるので、
二酸化炭素だけで33度も上げてるん
じゃない
んだけどね。

でも今は、”二酸化炭素が少し増える
だけで、気温がかなり上がってしまう”
と理解していればいいよ」

大南先生は、これ以上難しくなると
いけないと思い、話をやめました。 



次回に続きます。