ストーリーで学ぶ地球環境問題【大好きな地球を大切に】第6日-川下から川上のつながり | ひとも地球もサステナブル!

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★ストーリーで学ぶ地球環境問題


☆☆大好きな地球を大切に☆☆

【第6日】:

■川下から川上のつながり


「山から川、川から海という川上から
川下の『つながり』も大切だけど、
川下から川上への流れも忘れては
いけない
よ」

と大木先生が付け加えました。


「えっ、川下から川上にも水が
流れるの?」

尚子さんが不思議そうに聞きました。


「うんうん、テレビで見たことがあるよ。
川の水が上流に逆流していくんだ。
すごかったよ」

一郎くんが得意そうに言いました。


「ああそれは、ポロロッカのことだね。
アマゾン川の河口で海面が川より
高くなって、海から川の上流に
向かって海水が逆流する現象の
ことを言うんだ。

河口から800キロも逆流することが
あるそうだ」。

大木先生が説明しました。


「へえー800キロも!
そんなことが起こるんだ。やっぱり
自然ってスゴイね」。

尚子さんが目を丸くして驚いています。


「確かに自然はスゴイね。
でも先生の言っているのは、その逆流
ではないんだよ。

さっき、栄養が森から海に流れて
くると説明したけど、海から森という
流れもある
ってことだよ」

大木先生がいいました。

「水の流れじゃなくて、栄養の流れ
がってことですか?」

一郎くんが質問しました。


「おっ、なかなかするどいね。
その通りだよ。

海の魚が川を上ってくるって知って
るだろう?」

「うん、知ってるよ!」

「サケとか!」

「アユとか!」

「ウグイも図鑑にのってたよ」

ふたりは得意そうに魚の名前を
あげました。


「ふたりともよく知ってるね。
遡上魚って言うんだよね」


「そ・じょう・ぎょ?」

ふたりはキョトンとした表情で、先生の
言った言葉を繰り返しました。

 
  
「まあ、言葉は覚えなくてもいいから、
今から言うことをよく聞いてくれるかな。

サケとかアユは上流に向かって
泳いでいって、森の近くで産卵とか
したあと、死んじゃうよね。

※アユは秋になると上流から中流
  →下流へと下っていって、河口
  近くで産卵します。


鳥や動物に食べられると、魚の体に
あった栄養やミネラルがその鳥や
動物にうつり、そしてその鳥や動物が
死ぬと土になって森の木を育てる
んだ。

つまり、魚が木を育てる、もっと言えば
海が森を育てるということだね。

他にも、海の鳥やチョウチョなどの
昆虫が川に沿って上流にやってくる
ことでも、同じことが起こるよね」

大木先生は、少し難しすぎるかなと
思ったのですが、きっと分かって
くれると信じてふたりに説明しました。


「うあぁ、スゴイ! 自然ってスゴイ
ことしてるんだね」

尚子さんが、さらに目を丸くして
驚いています。


「ということは・・・・・・??」

一郎くんが何か思いついたようです。


「一郎くん、続けてごらん」

大木先生がやさしい声でうながしました。


「あのう、やっぱりダムなんかが
あったりすると、魚が上流に行けなく
なってしまうんじゃ・・・・?」


「そうなるかも知れないね。

大きなダムや堰(せき)を造る時は
魚道(ぎょどう)という、魚が通れる
ような道をつける
ことが多いんだけ
どね。

 
     【吉野川第十堰の魚道】


とはいえ、少しでも多くの魚が通れる
ように、どんどん改良して欲しいよね」

大木先生が、自分の望みも含めて
応えました。


上流から下流にしても下流から
上流にしても、つながりを切ったり、
循環を止めてしまわないようにボク
たち人間が責任を持たないといけ
ないで
すね」

一郎くんが、キッパリと言いました。

 

 

次回に続きます。