※記事にできる文字数の関係のため、前半後半に分けました

⑩ 採点、講評等

得点

YES 111 WIN

NO  110

裁判員の口頭での意見

 経済対生態なので仕方ないが、NO班は経済的な面がもっと欲しかった。

マングローブを切る事は、やはり将来性がない。YESは短期的でNOは長期的な感じ。だけど、どちらの主張も良かった。

農民の立場の人たち(YES)は、その現地の情報を具体的にどこまで得ていたのか?仕方ないけど示して欲しかった。NO班は少し具体性に欠けていた。

採点表に書かれていたコメント(裁判員記入)

YES班へ向けて

・設定として農民の立場に立ったのは分かるが、入り込みすぎて、必要のない事を主張していた。ボウシはいらないのでは。

・現実的。

・全員で話した方がよい。

NO班へ向けて

・立場上仕方のない事だが、生活する人の存在をもう少し考慮し、経済学的データーを主張に取り入れて欲しいと思いました。素直に納得しづらかった。

・理解しやすい。納得

・チームワークがあった。目をみて話しているのがGOOD。しかし、経済的データーが皆無で、環境の事を話しても、貧乏人にはあまり意味がないのでは。

先生の話

昔、近隣に生えるマングローブを全部切り、漁獲量が低下した事例がある。

勘違いをしないで欲しいのが、マングローブは、植えたらそのままで良いわけではない。マングローブは早成樹だから、早く育つ。海に生えている、ヒノキやスギの木のようなもの。つまり、マングローブの維持には人の手が必要で、ほったらかしにしたら大木になってしまう。

ある地域では、マングローブの浄化システムを使った養殖池のシステムが、あることにはある。しかし、その情報は不十分である。

生態的エコサービスを守りつつ、漁業をするのに何が重要になっていくのか。今回の議論はそれに触れていた。

現在、エビの養殖問題で一番の問題は内陸養殖による、内陸部への塩水の持込。これにより塩害をおこし、農作物へ影響を与えている。

次のステップはロールプレイングがいい。研究者、農民などこのテーマについて細かく設定をしてやっていく。それがCDM(クリーン開発メカニズム)の基本へと繋げていける。


「タイで新しくマングローブを切ってエビの養殖場を作ります。賛成か、反対か?」

設定:住民は既に養殖場を持っていますが、さらに新しく養殖場を作り、よりよい生活をしたいと思っている。賛成班は住民側の立場を意識し、とことんマングローブを切り倒して養殖場を作ることを前提とします。反対班は企画書の内容+マングローブを守ることの有益さ(生物多様性について等)を主張する

ディベートの形式について
Yes班立論 7

No班からの反対尋問(一方的な質問とその返答) 5


No班立論 7
Yes班からの反対尋問 5

⑤陪審員が考える時間 5 

⑥陪審員がこれまでのディベートを聞いてYes班、No班の主張をまとめ、質問をする。それぞれ3

⑦作戦タイム 5
Yes班の最終弁論 3

No班の最終弁論 3


⑩採点・講評等


(注意)

1. Yes
班とNo班はそれぞれ5分ずつの自由時間を持ち、それを活用できる。使うのも使わないのも自由。

2.
陪審員がこれまでのディベートを聞いてYes班、No班の主張をまとめるというのは、陪審員がディベートを聞いてどれだけ理解できているかを知るためのもの。陪審員のみんなでこれまでに討論された内容をまとめて、重要だと思ったところを発表する。

以下より議事録です。緑色はYes班、青色はNo班です

Yes立論

賛成案 マングローブ林を切り倒して養殖池を作ることに賛成! ―お金儲けて悪い?―

★ 土地を活用するなら養殖

タイでは、中小農家が自身の土地を所有し、自らがエビ養殖を行う個人経営が多い。

→フィリピンのバナナと違い、儲けが直接自分の利益に繋がる。

切ったマングローブも、建材、燃料、薬の材料などで収益となる。

★ 伐採が悪いと分かっているが、エビ養殖をして利益を得るためには伐採せざるを得ない。

エビ養殖の大半を占める、集約型・準集約型は、適切な管理でも1015年で使用限界がくる。

→新しい養殖場を作らなければ、生産規模の維持は不可能。

★ 漁業は儲かる!

タイでは農業と非農業の平均賃金の格差が大きい。

漁業は農業よりも収益が高く、その中でもエビの養殖池はさらに高い。

→約12年で初期投資が回収でき、3年で完全な利益となる。

エビ養殖の儲けはタイのGDPに貢献している。

② No班より反対尋問

生活のためのマングローブ伐採。では、無くなったらどう生活するのですか?

マングローブが無くなっても、他の手段を画策して最低限の生活はできると思います。

住民側は日々、マングローブを使っているのですか?

建築、木炭など使っています。

養殖以外に他に設ける方法があり、それを提案されたら使いますか?

もちろん、使います。

事実確認。養殖池がダメになる期間はもっと短いのでは?

適切な管理で、もっと長くすることもできます。

③ No班立論

反対案 マングローブ林を伐採し、養殖池を作る必要はない。

マングローブは木材や食料品などの資源以外にも、生態学的に重要である。

→水中では魚類や底性生物の餌場や避難所、陸上では哺乳類や爬虫類の生息場。

マングローブを伐採するのは、資源の減少、生物の多様性の低下、近辺での漁獲高の減少に繋がる。

近年、マングローブは劇的に減少。タイではここ20年で1/3に。植林も追いついていない。

養殖に使われる、試料、薬品が土壌を汚染し、一定期間がたつと、生産が低下する。

→マングローブ伐採をおこない、池の転移。そのため伐採が止まらない。

伐採を広げないためにも、生産量が下げず、現状の池を維持するのがベスト。

→結合型養殖の提案。

※今回提案する結合型養殖とは

天然試料や自然循環機能を利用した生態系への負荷を軽減する持続的な生産システムを用い、マングローブ林業とエビ養殖を同時に行う。

詳しくは以下を参照

http://www.affrc.go.jp/ja/research/seika/data_jircas/h17/2005_16

④ Yes反対尋問

養殖池は誰の土地?

現地住民である小金持ちの土地を想定しています。

そのような方法があるからと言って、現在の養殖方から結合へ切り替えられるのか?

この研究は現地の人と一緒にやっており、比較的受け入れやすいと思います。

1998年、タイにおいてエビ養殖の措置の禁止令がありましたが、政策が突然であったこと、調査不足、管理能力の無さなどにより実行できなかった。それを踏まえて、新しい案の持ち込みはどう思いますか。

今の集約漁業はタイで昔から行われている伝統的漁業ではない、つまり持ち込まれたもの。だから、きちんと経済的な面と生産性が出る事を説明すれば、住民の転換することの理解も可能である。

その方法でコンスタントに儲かるのか?

結合型養殖の実験で、完全閉鎖系での集約的システムに比べて、収支の面でもより有利であった結果が出ています。


⑥ 陪審員による主張&質問

Yes班について

10年―15年の限界が来た池はどうする?

養殖でたくさん稼げ、お金に余裕があるなら、植林をする。NGOが来て植林がしたいと言うなら、ウェルカム。

これからどれくらいまで切るの?

しばらく儲かるまでは切り続けます。そんなに計画できる算段があるなら、切りません。

No班について

・経済的なデーターを出して欲しい

研究によると、(収入分/収支)は結合養殖(マングローブ利用)1.53、マングローブ利用でないものは1.28に対し、閉鎖型の集約システムは1.06

・かなり長期的な長いスパンだと思いますが、もっと他に色々とできるのでは

この結合養殖の研究では、提示した期間より短いのもあります。

⑧ Yes最終弁論

環境に悪いと分かっていても、やはり生きるために伐る。

私たちは集約的養殖池を長年続けて、儲け続けきた。突然の変換は難しい。将来が目に見えてこない。

私たちは日々生活している。Yes班の案は、不透明で信用できない。いきなりやっても難しい。

本当にNo班の意見が良いのなら、もうすでにタイで広まっているのではないか。

⑨ No最終弁論

マングローブの生態学的価値は無視できるものではない。

1988年の失敗を踏まえて本研究がなされている。コストや資金も考慮にいれています。

・タイのマングローブ林は劇的に減った。しかし、NGOが行っている植林はせいぜい600ヘクタールくらい。なら、その植林に使う資金を、この結合型養殖池に費やせばいい。

・新しい研究の困難さを考慮に入れて欲しい。この研究は0から始まったものであり、長い目で見て欲しい。住民の目で考えた時、本当に住民を支えるのは、このマングローブを伐らない集約的養殖地である。

テーマ:「フィリピンの農家はドール、デルモンテといった企業に頼らずに生活できるのか?」


*「生活」という部分を各班に提示してもらう。

進め方:6月10日(火)15:00集合、15:15ディベートスタート
①Yes班(肯定班)立論 5分
②No派(否定班)立論 5分
③陪審員からの質問 5分

④作戦タイム 3分
⑤No班反対尋問その1 5分
⑥作戦タイム 3分

⑦Yes班反対尋問その1 5分
⑧作戦タイム 2分
⑨No班反対尋問その2 5分 <相手へ質問をするも良し、陪審員へのアピールをするも良し>
⑩作戦タイム 2分
⑪Yes班反対尋問その2 5分 <同上>
⑫作戦タイム 5分

⑬No班最終弁論 5分

⑭Yes班最終弁論 5分

⑮陪審員による採点・集計 5分

⑯陪審員の講評



*時間厳守で行った。

*「相手を言い負かす」のではなく、「陪審員をいかに自分たちの主張へ引きこめるか」を重視した。

*以下、議事録を掲載します。(参考程度に・・・)

 緑色はYes班、青色はNo班です。


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1.Yes班主張

テーマの定義設定

「多国籍企業」→1960~1970年代に日本向にバナナを輸出した企業、キャッスル&クッ        ク、ユナイテッド・ブランズ、(ドール)・デルモンテ・住友商事の4社


「頼らずに」→現在手を組んでいる企業との関係を解消する

「生活できる」→最低賃金になっても、後で向上していく

多国籍企業に頼ることの弊害(3点)

①単一作物を生産することによる地力の低下

②フィリピンの自立発展を邪魔している

③収益が一部に集まるシステム→利益が労働者に還元されていない

・多国籍企業は、植民地支配直後に介入した。その当時のままの情報開示の不十分さがある。

・企業との関係を絶ったフィリピンのすすむ道の例

新たな作物への移行→キャッサバなど。長期的に収入増加が見込めると予想。

新たな良心的企業の参入→バナナに変わる農産物としてイチゴなど、日系企業が参入。長期的な収入増加が見込めると予想。

・適切な情報開示がこれからは必要となってくる。

短期的な支出があるとしても、今後発展して行けると見込める。

2.No班主張

テーマの定義設定

「生活できるか」→経済や福祉の生活水準を維持できるあるいは向上する

・フィリピンの生活水準は低い(安全な水、高い失業率、就学率など)

3600万人の労働者のうち、3000人が非雇用である。

ドールやデルモンテといった企業ががいなくなったらさらに雇用は減ると予想される。

過去と比べ、ドールやデルモンテは変わった!SA8000制定による労働環境・条件の改善がされてきている。

・多国籍企業で働いていたほうが賃金が高い。(一般賃金の約2倍くらい)




3.陪審員からの質問

・新たな企業の参入とは?

企業がはいてくることで新たな展開がある

・肯定側の①、②とは?

・否定側に、借金などのデータはどうなっているのか、データソースは?

ドールのCSRサイトと、フィリピンの政府のサイトより

5.No班反対尋問その1

・多国籍企業が撤退した後の可能性について

新たな企業は漠然としているが、多国籍企業ではないのか?

多国籍企業を含む(ドール、デルモンテ)

多国籍企業なしでという題に反するのでは?

多国籍企業は4社に限定した

生活水準が上がるという展望をサポートするデータはあるのか?

まともな経営をしないと生きていけないから

ドールやデルモンテもSA8000で保障しているが?

時間軸が違う。かつては許されていた特別な関係。

キャッサバなどの収益性は?

キャッサバは一つの例。作物で考えたとき、バナナはいたむのが激しい。キャッサバなどはいたみが遅い作物というメリットがある。

7.Yes班反対尋問その1

マネージャーたちは豪邸に住んでいるように、上の人たちの生活についてのデータがあれば

収入の不均等はある。問題はいかに低所得者の賃金を向上させるかだ。

どうして1万人が路頭に迷うのか?フィリピンは英語圏なので労働者は引く手あまたなのでは?

現状として、10%の失業率。国連ミレニアム計画にも満たない

正社員と契約社員の待遇の違いは?

ドールに6000人いるが、契約社員の数は分からない

借金は農民を囲い込むためのものというが、農民の選択の自由はについてはどう思うか

農民に職業選択の自由はないが、失業は職業を選択したことには成りえない。

9.No班反対尋問その2

キャッサバやサツマイモは先進国向けに売れるのか?

あくまで例としてあげたまで

政府や地主が引き継ぐ?

バナナ産業は衰退しつつある、バナナから他産業への移行によりドールやデルモンテが逃げていくのでは?工業化も考えられる

フィリピンは輸出の大部分は工業に頼っている。日本のようにすべて工業化した場合雇用は下がるのでは?

工業化の中でも主要産業は半導体。手作業が必要な産業なら雇用は減少しない

教育はどうなっているのか?

企業がいなくなった場合の提案はしているが、本当にうまくいくというデータはあるのか?

11.Yes班反対尋問その2

経済成長が進むと、産業は農業から工業へシフトする。

食糧の安定した供給は重要だがドールやデルモンテが市場で認められているのは、徹底した低コスト化。それにより農民の過度の負担になっている。

バナナ農園の場所はシフトしている。長期間できる産業ではない。地力が低下するから。ドールやデルモンテは土地を借りているだけなので、調子が悪くなったらすぐ逃げられる。例えば、台湾・フィリピン・エクアドル・・のように。

現在バナナはスーパーで買いたたかれるような農産物なので、バナナの未来は明るくないのではないか!?

バナナを支持することについてどう思うか?

バナナにかぎらず、すべての農作物で同様なことがいえる

  また、企業と手を組んでいることで作物の安定した生産が見込めるのではないか?

13.No班最終弁論

「フィリピンのバナナ農家は企業に頼らずに生活できない」と考えた。

定義:「生活できる」→現在の生活水準の維持および向上

・プランテーションがある地域とない地域との所得比較をしたとき、プランテーションがある地域の方が所得が高いというデータがある。

・消費者の意識やSA8000(労働時間・労働環境などを厳しく定めている)があるので、現在では労働者の負担は小さくなっている。

・フィリピンは通貨危機を乗り越えているが、それは金融が豊かだからなのではなく、出稼ぎ労働によりドルを稼いだから(GDP10%以上)

・教科書が8人に1冊しか渡っていないなど、就学環境の問題等、多々ある。

・産業シフトに関しても教育が必要。誰がやるのか?結局は企業などの資本が必要となってくるのではないか。

・工業へのシフトへも、さらに初期投資などで借金が必要。国民の負担が増えるだけである。

14.Yes班最終弁論

定義:「企業」→キャッスル&クック、ユナイテッド・ブランズ、(ドール)・デルモンテ・住友商事の4社

「頼らずに」→現在の雇用形態を解消したとする。

「生活できる」→11ドル以下になっても、そこから向上してゆくことを目指す。

・ドール・デルモンテの方向性が変わってきてはいても、多国籍企業という本質は変わらない。自律するためには、これらの企業がいると不完全。

・アフリカなどのように、完全に自立した方が将来的に伸びることを期待できる。

多国籍企業に頼ることの弊害(3点)

①単一作物を生産することによる地力の低下

②フィリピンの自立発展を邪魔している

③収益が一部に集まるシステム→利益が労働者に還元されていない

・地力の低下により、これらの企業は撤退していかざるを得ないのではないか?

・フィリピンの人々は、労働力としても魅力的なのではないか。残されたアジアの社会主義国に比べ、フィリピンは英語が使える分、雇用者としても発展性がある。→多国籍企業が再び入ってくる

・時代的背景から考えても、4社に比べ、良心的な多国籍企業が入ってくる可能性は高い。

・ドールやデルモンテは社会的責任を果たせる企業であるのかが疑問である。

16.陪審員からの講評

・肯定側は現在よりも生活は向上するという方向を言っていたが、現状の問題ばかり述べていたので、論旨がずれていた。否定側は定義と主張と一貫していた。

・肯定側はデータを集めるのが大変。経済指標だけでなく、論文などを持ってきていたのが良かった。

・肯定側は主張の仕方や技術的なものが上回っていた。

・お互いのキャッチボールになり、陪審員はついていけなかった。陪審員への主張というところを意識して欲しかった。

・尋問が水かけ論になっていた。お互いの主張を履き違えていたのではないか。

・肯定側は未来のことなので仕方がないが、データがなかったため信憑性に欠けた。

先生から

・ディベートの意義は、ディスカッション能力が上がること、もう一つは問題の構造を明らかにすること。細かいデータを集めることも重要だが、ざっくりした議論で完璧なロジックを組み立てる手法もアリ。


・肯定も否定も、多国籍企業と付き合っていくことは必要だということが分かった。

グローバルな視点とローカルな視点で、どこに妥協点をみつけるかが大切。

・ディベートのルールでは限界がある。他の方法も考えるべきでは。

・主張のポイントがずれている。命題をもっと細かく指定するべき。

・関連するステークホルダーがどうなるのか。ステークホルダーに分かれてのロールプレイという方法もある。

・役割を交換してみて分かったことを次に生かすべき

・時間配分があまりに忙しかった。初心者の場合は、長く設定してもいいのではないか?

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((次回))

新たなテーマ「エビ」についてKR先生から講義を受け、その後具体的なテーマ設定を行う。


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