テーマ:「フィリピンの農家はドール、デルモンテといった企業に頼らずに生活できるのか?」
*「生活」という部分を各班に提示してもらう。
*進め方:6月10日(火)15:00集合、15:15ディベートスタート
①Yes班(肯定班)立論 5分
②No派(否定班)立論 5分
③陪審員からの質問 5分
④作戦タイム 3分
⑤No班反対尋問その1 5分
⑥作戦タイム 3分
⑦Yes班反対尋問その1 5分
⑧作戦タイム 2分
⑨No班反対尋問その2 5分 <相手へ質問をするも良し、陪審員へのアピールをするも良し>
⑩作戦タイム 2分
⑪Yes班反対尋問その2 5分 <同上>
⑫作戦タイム 5分
⑬No班最終弁論 5分
⑭Yes班最終弁論 5分
⑮陪審員による採点・集計 5分
⑯陪審員の講評
*時間厳守で行った。
*「相手を言い負かす」のではなく、「陪審員をいかに自分たちの主張へ引きこめるか」を重視した。
*以下、議事録を掲載します。(参考程度に・・・)
緑色はYes班、青色はNo班です。
-------------------------------------
1.Yes班主張
テーマの定義設定
「多国籍企業」→1960~1970年代に日本向にバナナを輸出した企業、キャッスル&クッ ク、ユナイテッド・ブランズ、(ドール)・デルモンテ・住友商事の4社
「頼らずに」→現在手を組んでいる企業との関係を解消する
「生活できる」→最低賃金になっても、後で向上していく
多国籍企業に頼ることの弊害(3点)
①単一作物を生産することによる地力の低下
②フィリピンの自立発展を邪魔している
③収益が一部に集まるシステム→利益が労働者に還元されていない
・多国籍企業は、植民地支配直後に介入した。その当時のままの情報開示の不十分さがある。
・企業との関係を絶ったフィリピンのすすむ道の例
① 新たな作物への移行→キャッサバなど。長期的に収入増加が見込めると予想。
② 新たな良心的企業の参入→バナナに変わる農産物としてイチゴなど、日系企業が参入。長期的な収入増加が見込めると予想。
・適切な情報開示がこれからは必要となってくる。
・
短期的な支出があるとしても、今後発展して行けると見込める。
2.No班主張
テーマの定義設定
「生活できるか」→経済や福祉の生活水準を維持できるあるいは向上する
・フィリピンの生活水準は低い(安全な水、高い失業率、就学率など)
3600万人の労働者のうち、3000人が非雇用である。
ドールやデルモンテといった企業ががいなくなったらさらに雇用は減ると予想される。
過去と比べ、ドールやデルモンテは変わった!SA8000制定による労働環境・条件の改善がされてきている。
・多国籍企業で働いていたほうが賃金が高い。(一般賃金の約2倍くらい)
3.陪審員からの質問
・新たな企業の参入とは?
→企業がはいてくることで新たな展開がある
・肯定側の①、②とは?
・否定側に、借金などのデータはどうなっているのか、データソースは?
→ドールのCSRサイトと、フィリピンの政府のサイトより
5.No班反対尋問その1
・多国籍企業が撤退した後の可能性について
新たな企業は漠然としているが、多国籍企業ではないのか?
→多国籍企業を含む(ドール、デルモンテ)
多国籍企業なしでという題に反するのでは?
→多国籍企業は4社に限定した
生活水準が上がるという展望をサポートするデータはあるのか?
→まともな経営をしないと生きていけないから
ドールやデルモンテもSA8000で保障しているが?
→時間軸が違う。かつては許されていた特別な関係。
キャッサバなどの収益性は?
→キャッサバは一つの例。作物で考えたとき、バナナはいたむのが激しい。キャッサバなどはいたみが遅い作物というメリットがある。
7.Yes班反対尋問その1
マネージャーたちは豪邸に住んでいるように、上の人たちの生活についてのデータがあれば
→収入の不均等はある。問題はいかに低所得者の賃金を向上させるかだ。
どうして1万人が路頭に迷うのか?フィリピンは英語圏なので労働者は引く手あまたなのでは?
→現状として、10%の失業率。国連ミレニアム計画にも満たない
正社員と契約社員の待遇の違いは?
→ドールに6000人いるが、契約社員の数は分からない
借金は農民を囲い込むためのものというが、農民の選択の自由はについてはどう思うか
→農民に職業選択の自由はないが、失業は職業を選択したことには成りえない。
9.No班反対尋問その2
キャッサバやサツマイモは先進国向けに売れるのか?
→あくまで例としてあげたまで
政府や地主が引き継ぐ?
→バナナ産業は衰退しつつある、バナナから他産業への移行によりドールやデルモンテが逃げていくのでは?工業化も考えられる
フィリピンは輸出の大部分は工業に頼っている。日本のようにすべて工業化した場合雇用は下がるのでは?
→工業化の中でも主要産業は半導体。手作業が必要な産業なら雇用は減少しない
教育はどうなっているのか?
企業がいなくなった場合の提案はしているが、本当にうまくいくというデータはあるのか?
11.Yes班反対尋問その2
経済成長が進むと、産業は農業から工業へシフトする。
食糧の安定した供給は重要だがドールやデルモンテが市場で認められているのは、徹底した低コスト化。それにより農民の過度の負担になっている。
バナナ農園の場所はシフトしている。長期間できる産業ではない。地力が低下するから。ドールやデルモンテは土地を借りているだけなので、調子が悪くなったらすぐ逃げられる。例えば、台湾・フィリピン・エクアドル・・のように。
現在バナナはスーパーで買いたたかれるような農産物なので、バナナの未来は明るくないのではないか!?
バナナを支持することについてどう思うか?
→バナナにかぎらず、すべての農作物で同様なことがいえる
また、企業と手を組んでいることで作物の安定した生産が見込めるのではないか?
13.No班最終弁論
「フィリピンのバナナ農家は企業に頼らずに生活できない」と考えた。
定義:「生活できる」→現在の生活水準の維持および向上
・プランテーションがある地域とない地域との所得比較をしたとき、プランテーションがある地域の方が所得が高いというデータがある。
・消費者の意識やSA8000(労働時間・労働環境などを厳しく定めている)があるので、現在では労働者の負担は小さくなっている。
・フィリピンは通貨危機を乗り越えているが、それは金融が豊かだからなのではなく、出稼ぎ労働によりドルを稼いだから(GDPの10%以上)
・教科書が8人に1冊しか渡っていないなど、就学環境の問題等、多々ある。
・産業シフトに関しても教育が必要。誰がやるのか?結局は企業などの資本が必要となってくるのではないか。
・工業へのシフトへも、さらに初期投資などで借金が必要。国民の負担が増えるだけである。
14.Yes班最終弁論
定義:「企業」→キャッスル&クック、ユナイテッド・ブランズ、(ドール)・デルモンテ・住友商事の4社
「頼らずに」→現在の雇用形態を解消したとする。
「生活できる」→1日1ドル以下になっても、そこから向上してゆくことを目指す。
・ドール・デルモンテの方向性が変わってきてはいても、多国籍企業という本質は変わらない。自律するためには、これらの企業がいると不完全。
・アフリカなどのように、完全に自立した方が将来的に伸びることを期待できる。
多国籍企業に頼ることの弊害(3点)
①単一作物を生産することによる地力の低下
②フィリピンの自立発展を邪魔している
③収益が一部に集まるシステム→利益が労働者に還元されていない
・地力の低下により、これらの企業は撤退していかざるを得ないのではないか?
・フィリピンの人々は、労働力としても魅力的なのではないか。残されたアジアの社会主義国に比べ、フィリピンは英語が使える分、雇用者としても発展性がある。→多国籍企業が再び入ってくる
・時代的背景から考えても、4社に比べ、良心的な多国籍企業が入ってくる可能性は高い。
・ドールやデルモンテは社会的責任を果たせる企業であるのかが疑問である。
16.陪審員からの講評
・肯定側は現在よりも生活は向上するという方向を言っていたが、現状の問題ばかり述べていたので、論旨がずれていた。否定側は定義と主張と一貫していた。
・肯定側はデータを集めるのが大変。経済指標だけでなく、論文などを持ってきていたのが良かった。
・肯定側は主張の仕方や技術的なものが上回っていた。
・お互いのキャッチボールになり、陪審員はついていけなかった。陪審員への主張というところを意識して欲しかった。
・尋問が水かけ論になっていた。お互いの主張を履き違えていたのではないか。
・肯定側は未来のことなので仕方がないが、データがなかったため信憑性に欠けた。
先生から
・ディベートの意義は、ディスカッション能力が上がること、もう一つは問題の構造を明らかにすること。細かいデータを集めることも重要だが、ざっくりした議論で完璧なロジックを組み立てる手法もアリ。
・肯定も否定も、多国籍企業と付き合っていくことは必要だということが分かった。
グローバルな視点とローカルな視点で、どこに妥協点をみつけるかが大切。
・ディベートのルールでは限界がある。他の方法も考えるべきでは。
・主張のポイントがずれている。命題をもっと細かく指定するべき。
・関連するステークホルダーがどうなるのか。ステークホルダーに分かれてのロールプレイという方法もある。
・役割を交換してみて分かったことを次に生かすべき
・時間配分があまりに忙しかった。初心者の場合は、長く設定してもいいのではないか?
-------------------------------------------------------------------------
((次回))
新たなテーマ「エビ」についてKR先生から講義を受け、その後具体的なテーマ設定を行う。
-------------------------------------------------------------------------