星野源さんは、2012年にくも膜下出血で倒れ、2012年と2013年の二度、脳動脈瘤に対する開頭手術を受けている。

私は一度目の入院でそれを知り、勝手に星野さんを先輩だと思い、彼のエッセイや曲に触れ元気を貰っていた。

彼は言わずもがなのスーパースターだけど、エッセイには決して飾らない、一人の人間としての、苦悩や葛藤、喜びに溢れている。(そして清々しいまでにくだらない下ネタもあふれている)


・そして生活は続く

誰にでもあるような日常をおもしろおかしくバカバカしく描いたエッセイ。
二度目の救命病棟で読んで、日常っておもしろいな、戻りたいなと思わせてくれた。



・地獄でなぜ悪い

星野さんが二度目の休止中に発表された。
「ただ地獄を進む者が悲しい記憶に勝つ」

退院直後から、今まで繰り返し聴いている。


・化物

一度目の活動休止後に発表された。

「誰かこの声を聞いてよ 今も高鳴る体中で響く 思い描くものが明日を連れてきて 奈落の底から 化けた僕をせり上げてく 知らぬ僕をせり上げてく」

同じく退院直後から、今まで繰り返し聴いている


・蘇える変態

巻末には、闘病生活について描かれている。

「楽しいことも、辛いことも、濃縮して味わった。病室の日々は、普通の生活の時間よりも遅く間延びして感じるが、起こる出来事への喜怒哀楽の密度はとても高い。景色の変わらない病室の景色は一見止まったように見えるけど、そんな事は決してなく、働いて、休んで、あくせくうごいている人たちと同じか、それ以上に、その生活は紛れもなく人生そのものだった。生きた証や実感というものは、その人の外的行動の多さに比例するのではなく、心の中にある振り子の振り幅の大きさに比例するのだと思う。」

退院後に読んだ。30代になり冷静に努めることが是と思っていたけれど、この一節のとおりのことを感じた。

心の振り子を揺らすような、行動や物事の捉え方をしていきたいと思う。
蘇える変態蘇える変態
980円
Amazon


・いのちの車窓から

病を乗り越えて、逃げ恥や恋など売れっ子になった星野さん。売れっ子になってもありのままの自分を描く星野さんに、成長していくさまが感じられ、共感を覚える。

「いのちの車窓はさまざまな方向にある。現実は一つだけれど、どの窓から世界をみるかで命の行き先は変わっていくだろう。より良い方向を見ようなんて説教くさい言葉だけれど、それをやり続けるのは難しい。前向きに生きることは、本当に難しい。予想もしなかったような楽しくて嬉しい終着駅にたどり着けるように、より良い窓を覗いていたい。」

退院後に読んだ。