岩手日報2月28日の記事によると奥州、平泉、一関の3市町では年間1msvを超える放射線量が観測される地域が存在し、国の責任において除染を行うことが決まった。しかしこれまでに独自に除染を行っていた地域では除染廃土の仮置き場の問題が難航し、現場保管が現実的には行われていた。そのような中、今回の決定では2年間で除染を行う計画が立てられ、主導する環境省は仮置き場、現場保管について現地の状況に合わせて検討するように指示を出したようだ。

一方福島県の飯舘村においては村長の言によれば仮置き場の設置ができなければ除染に対する予算措置を環境省が認めないとのことであった。この発言は当の環境省の福島除染チームリーダーと経産省、内閣府のメンバーのいる前で村民への説明会の中で行われた。片や現場保管も認めておきながら、飯舘村では大量の廃土をほとんど野積みに近い状態で集積するような危険な行為を強要している。行政の意図していることは不明であるが行っていることが科学的にも経済的にもその根拠が乏しく、さらに対象となる地域で対応基準がこれほど大きく異なることから除染事業自体への不信感がさらに高まった。

放射性物質を安全に長期に隔離保管できる中間貯蔵施設か本来ならば最終処分場を決めなければ除染は何の意味もなく、汚染の高いところではその飛散と拡散そして集められた廃土は自然災害の餌食となってさらなる被災地を作り出しかねない。しかも除染行為そのものが自然災害を誘発する危険をはらみ、そこに棲息する生物に致命的な損害を与えることは火を見るより明らかである。