いつつの不思議をとくなかに
仏法不思議にしくぞなき
仏法不思議ということは
弥陀の弘誓になづけたり
弥陀の廻向成就して
往相還相(おうそうげんそう)ふたつなり
これらの廻向によりてこそ
心行ともにえしむなれ
往相の廻向ととくことは
弥陀の方便ときいたり
悲願の信行えしむれば
生死すなわち涅槃なり
還相の廻向ととくことは
利他教化の果をえしめ
すなわち諸有に廻入(えにゅう)して
普賢の徳を修するなり
論主の一心ととけるをば
曇鸞大師のみことには
煩悩成就のわれらが
他力の信とのべたまう
尽十方の無礙光は
無明のやみをてらしつつ
一念歓喜するひとを
かならず滅度にいたらしむ