Stroke. 2019 Nov 50;3184-3190.

doi: 10.1161/STROKEAHA.119.025813

 

 

 

 

【背景・目的】

大動脈弓の動脈硬化(Aortic arch atherosclerosis: AAA)は、塞栓源不明の脳塞栓症において、塞栓源となりうる病態である。AAAの症例に着目し、NAVIGATE ESUS研究の評価を行い、その特徴や脳梗塞の再発率、治療効果を検討した。

 

 

 

【方法】

AAAの検出とその状態の評価は経食道エコーで行なった。AAAプラークは、潰瘍形成または4mm以上の厚さ、または可動性血栓を認めた際にcomplex AAAと判断した。

 

 

 

【結果】

経食道エコーを行なった1382例のうち、397例(29%)はAAA、112例(8%)はcomplex AAAだった。

 

AAAを認めない症例、no-complex AAA症例、complex AAA症例を比較すると、平均年齢(63歳 vs 67歳 vs 69歳:p<0.001)、糖尿病の既往(19% vs 26% vs 32% :p=0.002)、大動脈弁弁膜症(10 vs 20 vs 20:p<0.001)が増大した。

 

高齢糖尿病大動脈弁弁膜症スタチン使用陳旧性梗塞の存在は、AAAの存在に関連し、さらにcomplex AAA(no-complex AAAと比べて)の存在とも関連した。

 

多領域の梗塞はcomplex AAAで21%、complexでないAAAで17%、AAAなしで13%(p=0.07)に認めた。

 

脳梗塞再発は、complex AAAで7.2%、no-complex AAAで4.2%、AAAなしで5.6%に認めた。しかし、多変量解析でcomplex AAA症例で脳梗塞再発の有意な増大は認めなかった。complex AAA症例の再発症例のうち、4例はリバーロキサバン内服症例、4例はアスピリン内服症例だった。

 

 

 

【結論】

complex AAAは塞栓源不明の塞栓症症例に多く見られ、動脈硬化性変化と強く関連する。また、再発性脳梗塞の可能性を増大させる。有効な抗血栓薬治療の選定に関しては、今後の研究結果が待たれる。

 

 

 

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