Acta Neurochir. 2019 Oct;161:1981-1991.

doi:  10.1007/s00701-019-04042-9

 

 

 

【背景】

複雑MCA動脈瘤に対するバイパス手術の重要な点は、バイパス手術法の選択というよりは、正常循環から病変をいかに除外するかの術前の戦略である。この研究の目的は、血行再建術と母血管閉塞を使用した複雑MCA動脈瘤の治療経験をレビューし、術前の戦略を促進するために手術方法に応じたこれら動脈瘤の分類を行うことである。

 

 

 

【方法】

クリッピングが不可能で、血行再建術と母血管閉塞を要した複雑MCA動脈瘤50例をレビューした。個々の手術バリエーションを検討し、動脈瘤の位置関係をもとに分類化を行った。

 

 

 

【結果】

複雑MCA動脈瘤の6分類

 

Type1a:紡錘状のM1動脈瘤、血栓化なし

Type1b:紡錘状のM1動脈瘤、血栓化あり

Type2a:MCA分岐部動脈瘤、上方向き

Type2b:MCA分岐部動脈瘤、外側向き

Type2c:MCA分岐部動脈瘤、下方向き

Type3:M2またはM3動脈瘤、分岐部を含まない

 

(上記文献より引用)

 

 

Type1a

MCA領域全体の灌流を要するためhigh flowバイパスが勧められる。

 

(上記文献より引用)

 

 

Type1b

MCA領域全体の灌流を要するためhigh flowバイパスが勧められる。

 

(上記文献より引用)

 

 

Type2a

様々なdouble barrel bypass(2×STA、STA +RAG、Y-RAG、SV graft)、またはhigh flow bypassにin situ戦略のバイパスを加える(re-implantation、interposition、side-to-side technique)。

 

(上記文献より引用)

 

 

Type2b

両側M2間に距離があるため、ほとんどの症例でM2それぞれに血行再建を要する(2×STA、STA +RAG、Y-RAG、SV graft)。Transpositionで代替可能な症例もある。

 

(上記文献より引用)

 

 

Type2c

proximal occlusionであれば片側M2のみにバイパス手術を行い、trappingが必要ならば両側M2にバイパス手術が必要となる。

 

(上記文献より引用)

 

 

Type3

singleまたはdouble STA-MCAバイパスが最も有効

 

(上記文献より引用)

 

 

 

【結論】

複雑MCA動脈瘤の治療は困難で、個々に応じた手術戦略が要求される。提示した分類は、術前の手術戦略のプランニングに有用であると考えらる。

 

 

 

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