Stroke. 2019 Sep;50:2558-2561
doi: 10.1161/STROKEAHA.119.025399
くも膜下出血症例に対して腰椎カテーテル経由による脳脊髄液濾過を行なった報告で、脳脊髄液の赤血球除去が安全にできる可能性が示唆された。
くも膜下出血における脳脊髄液濾過を人で行なった初の治験である(PILLAR study)。
くも膜下出血では脳脊髄液からの速やかな赤血球除去を行うことで、予後や二次的な脳損傷を改善できる可能性が示唆されている。
これまでの報告では脳室または腰椎ドレーンからの自然排出を行うことが一般的だった。
しかし、濾過システムを用いてクリーンな脳脊髄液を返却することで、より速やかに計算された赤血球除去が期待できる。
くも膜下出血症例で脳動脈瘤処置後、二重構造の腰椎ドレナージを留置し、脳脊髄液濾過を24時間まで行なった。
血性脳脊髄液を吸引しフィルターを通した後、胸椎レベルのくも膜下腔に返却した。
脳脊髄液を採取し、細胞数、総タンパク数をカウントし、グラム染色を行なった。
また、濾過前後で頭部CTスキャンを調べた。
(上記の文献より引用)
13症例が対象となった。
脳脊髄液濾過の平均時間は15:07時間(範囲:5:32-24:00時間)で、平均濾過量は632ml(範囲:180.6-1447.6ml)だった。
脳脊髄液中の平均赤血球数は、2.78×105 cells/μLから1.17×105 cells/μLへ、52.9%の減少を認めた。総タンパク数は71%減少した。
CT上の脳槽の血腫も減少を認めた(平均Hijdraスコアで46.5%減)。
(上記の文献より引用)
少数例ではあるが、くも膜下出血における脳脊髄液濾過法の適用可能性と安全性が示唆される結果となった。さらなる研究が待たれる。
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