波平には
「お前の作った飯なんて食えるか毒をいれてるだろう」
そう言って母ちゃんの作るご飯を何日も食べなかった日々がある
作っても置いていかれた弁当
母ちゃんの作ったご飯を、弁当を食べなくても
フネがせっせとカップ麺だの菓子パンだのを与え、部屋に冷蔵庫とポットまで用意して彼の籠城の手助けをしていた
何度もやめさせようとしたが
その度にフネとタマに妨害されて2ヶ月に渡り波平は籠城した
どうにもならなかった…
ついには行政の力を借りて外に出し
祖父母と別居し
徐々に洗脳が解けていく中で
『家庭料理を用意してもらえるという幸せ』に波平は気づくようになった
手料理のありがたさを感じ
それぞれの家庭の味があることを知った
「友達の弁当の唐揚げを一つもらったらさ、母ちゃんの作る唐揚げと全く味が違って驚いた」
「お腹空きすぎてコンビニで炒飯のおにぎりを買ったんだけどさ、美味しくなくて驚いたいや〜母ちゃんの炒飯は最高だようまいよ〜」
と、朗らかな笑顔で言う
あのどん底の地獄の日々。
また波平と笑い合えるようになってよかった
波平が彼らしさを取り戻した姿を見るたびに
母ちゃんは間違ってなかった。
何度でも、なんどでも
我が子を取り戻すためにあの扉を破る
そう決意を固める
生きているからこそ味わえる幸せに
乾杯