こんにちは。ノートル パリです。ご訪問頂きありがとうございます。

 

今は、ショパンコンクールが、目が離せないですね。

3次予選で日本人5人が演奏するのは、素晴らしいです。未だかつて、日本人の優勝者はいなかったのですが、期待したいですね。 音譜

皆さんの演奏をYOUTUBEで聞いていますが、あまりにも素晴らしくて、甲乙つけがたいですよね。

 

 

 

そんな中、今夜は、VON NAGEL=フォン ナゲルさんのアトリエコンサートのご連絡を頂いていたので、行ってきました。

以前のブログにも書いたように、チェンバロを長年造り続けてきたその道の第一人者です。

 

1963年 VON NAGEL=フォン ナゲルさんは、ドイツ人ですが、パリで家具職人の仕事をしていました。

1972年 パリで最初のチェンバロを作ります。

1994年 芸術のマスター『MAITRE D'ART = メートル ダー』に、任命されました。その道の第一人者として、フランス国に認められたのです。

 

 

19時半からのコンサートでしたが、19時に到着。もう、日が暮れ始めていました。

 

この2年近く、コロナ禍で、アトリエコンサートが出来なくて本当に残念に思っていました。

 

今夜は、日本人のチェンバロ演奏者 林伊織さんのリサイタルでした。

 

アトリエの入り口で、VON NAGEL=フォン ナゲルさんの息子さんがドアを開けて下さいました。

 

ここに、VON NAGEL=フォン ナゲルさんのアトリエがあるのです。

ここには、色々な事務所が集まっています。

エレベーターで、バッタリと、VON NAGEL=フォン ナゲルさんにお会いしたので、

『お元気ですか?』

と、お声をかけたら、

『この歳だけど、何とか生きているよ』

と、おっしゃり、いつものジョークとしてかわしたのですが。。。

 

正直、この2年近くお目にかからなかった間に、凄くお痩せになって、お疲れのご様子が伝わってきました。。。

 

私も3回のロックダウンは、特に、3回目は精神的にキツかったですが、80歳位のVON NAGEL=フォン ナゲルさんにとっては、恐らく、10年位にも相当する大変な時をお過ごしになったのではないだろうか。。。と、思ってしまいました。

 

何しろ、50年前から年に片手以上の数のアトリエコンサートを行って来た方が、突如、それが出来なくなると言うのは、どれほど辛い日々だったであろうか?と、思ってしまいました。

 

 

 

 

私が、一番乗りでアトリエに到着したので、VON NAGEL=フォン ナゲルさんと少しお話しました。

 

いつも彼は、ジョーダン混じりの話が多くて、人を笑わせるのがお好きな方。

『今日の貴女は、エレガントですね。ブルーのブラウスに、ブルーの革のバックに、ブルーの手提げ鞄。見えないけど、靴下もブルーですか?』

と、ジョーダンでおっしゃるような方です。 ( ´艸`)

 

 

VON NAGEL=フォン ナゲルさんの御創りなるチェンバロは、美しくて、素晴らしいです!

 

2段の鍵盤。

上も下も同じですが、若干、音色が違うのですね。

 

REINHARD VON NAGEL=レインハード フォン ナゲルさんのネームが入っています。

 

チェンバロは、とても芸術性の高い楽器です。

 

ここは、アトリエですから、こんな状態になっています。

 

ここに、スペースを作って、まるで、18世紀のサロンのように、招待客40人位がいつも集まるのです。

 

色々な器具が並んでいます。

 

ここでコンサート。

 

コンサートが始まる前と後に、いつもお話されますが、彼の話は、確信をついた深い話を冗談のように言って、皆を笑わせるのです。

 

 

今日のお話もそうでした。

 

『フランスからレジョン ドヌール勲章を与えられた時に、自分よりも優れたフランス人の職人は他にもいるから』と、辞退されたそうです。

というのも、ドイツ人の彼は、カンタンにフランス国籍が取れるのに、あえて、ドイツ国籍のままでいるのです。

 

ちなみに、私も日本国籍のままですが、私の周りには、フランス国籍やらアメリカ国籍に変えた、元日本人の方々が結構います。

 

彼は、こう言いました。

『フランスは、外人に脅かされた。しかし、フランスは、とても寛大な国。ドイツ人である異邦人の私を受け入れてくれる』

この言葉は、私自身も同じ思いがあります。

自国で無い国で生きていくと言う事は、とても大変な事です。ましてやそこで母国人以上の成果を出すのは、もっと大変。血の滲む苦労は当たり前。。。

パリに住んでいる私を含む異邦人達を寛大なフランスは受け入れ、平等に、恩恵が与えられます。 

これは、人間という本質を尊重しているのですね。

 

 

が、残念ながら、パリに住んでいる日本人の方で、こういう事をご理解されていない方もいらっしゃいます。 哀しいですね。

 

 

VON NAGEL=フォン ナゲルさんは、とても大変な人生と戦って来た厳しい人というのが、分かります。 

だから、彼の話は、いつも核心をついた心に残るお話なんですね。

 

でも、、、今日は、ちょっと、悲しかった。。。。 

前のようなお元気さが伝わってこなかったので。。。

 

たまりかねて、客席にいたフランス人女性アンヌさん?が、VON NAGEL=フォン ナゲルさんの所に、駆け寄りました。

ケベック生まれの私の横の方も、細々と彼の気遣いをされていました。

 

このアトリエ コンサートにいつもご招待されている皆が、VON NAGEL=フォン ナゲルさんを好きで、大切にいたわっているのです。

 

 

 

 

一方、コンサートの方は、林伊織さんが素晴らしい演奏をして下さいました。

ありがとうございました。

 

目を閉じて聞いていると、ここがアトリエというのを忘れさせてくれます。( ´艸`)

まるで、ヴェルサイユ宮殿の中で聞いているかのようでした。 音譜

 

パリにお住まいだそうですので、次回もどこかでリサイタルされる時には、行ってみようかと思います。

素晴らしい選曲でした。

 

アトリエコンサートは、こじんまりしたサロンのようで、演奏者や主催者達と、お話させて頂ける気軽さが良いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

NOTRE PARISノートル パリ