【サイプロ・小説】追憶ノ欠片1 | 無題警報

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───第1章「追憶ノ欠片」───

水無月家。

世界でも指折りと言われる程の資産を有する財閥グループ。

これは、そんな家庭に産まれたある双子の物語───。



「ま・・・待ってよお姉ちゃん・・・!!」

とある公園の中、白髪に赤い瞳という、特徴的な容姿をした6歳程度の少年が膝に手をつき、息を切らせながら言った。

「もう・・・体力ないなあ梨桜は・・・」

腰に手を当て、やれやれといった感じでそれに答えたのは、少年と瓜二つな容姿の少女だった。

「お・・お姉ちゃんがすごいんだよ・・・」

耐えられなくなったように、少年がその場にどてっ、と尻餅をついた。

「全く・・・ほら、帰るよ!長月さんに怒られちゃうし!」

少女が少年に手を差し伸べる。

「うう・・・もうちょっと休ませて・・・」

「だーめ!!ほら早く!!」

少女が無理矢理少年の手を取り、少年を立ち上がらせて、走り出す。

「わわっ・・・」

少女に引っ張られる形で走り出した少年が驚いたように声を漏らした。

少年が走りながら空に目を向ける。

「・・・わあ・・・」

少年の目には、オレンジ色に輝く夕焼け空が映っていた。



2人が帰ったのは日が落ちる寸前になってからだった。

敷地内を歩きながら、少女が言う。

「あーあ・・・どうしよう絶対怒られるよ・・・」

2人の服は泥塗れになっている。

2人は目を見合わせ、はあ…と溜め息をついた。

「・・・仕方ないか」



「「・・・・・・・・・」」

「・・・・・・・・・・」

自宅に戻った2人は案の定、使用人であり、2人の普段の保護者代わりでもある長月美穂(ながつきみほ)から説教を受けていた。

「・・・・2人とも」

「「・・・・・はい」」

「こんな時間までどこに行ってたの?それに服もこんなに汚して・・・」

「「・・・・・・・・・」」

2人は正座をさせられていて、足が痺れたのか、少年の方はもじもじと足を動かしている。

「・・・心配したんだからね?たくさん遊びたいのはわかるけど、何か一言言ってから遊びに行く事!わかった?」

「・・・はーい」

少年が渋々と返事をする。

「莱花は?」

「・・・はーい」

美穂に言われ、少女も口を尖らせながらも返事をする。

それを聞いた美穂は、ふっ、と微笑を浮かべ、2人の頭を撫でた。

手を離し、美穂が立ち上がりながら2人に言う。

「とりあえずお風呂に入ろうか!ドロドロだし…」

「「はーい」」

言われた2人は仲良く返事をして、風呂場の方へ向かっていった。

それを見ていた美穂は、小さく溜め息をつき、呟いた。

「ほんとはこれは母親の伊織の役目なんだけど…仕方ない、か」

2人の両親、水無月恭輔(みなづききょうすけ)と水無月伊織(みなづきいおり)は仕事で海外を飛び回っていて、なかなかこの家に戻ってくる事が出来ない。

「……まあ、だから私が2人の保護者役を任されたんだし…頑張るしかないな」

美穂はそう自分に言い聞かせるように言い、力強く、頷いた。



「ちょっと梨桜!!大人しくして!!」

「だっ…だってくすぐった…あはははは!!」

その双子はと言うと、風呂場で背中を洗い合っている最中だった。

「よーしおっけーい!!」

少年の背中にお湯を掛けながら、少女が言った。

「次は梨桜が洗ってねー♪」

「おっけー…」

少年がタオルにボディソープを含ませ、少女の背中を洗っていく。

「・・・ねえ、お姉ちゃん」

少年が、少女の背中を洗いながら言った。

「んー?」

「パパとママ…次はいつ帰ってくるかな…?」

「・・・さあねー」

少女が少年の方を見ずに答える。

「だよね・・・」

少女の背中にお湯を掛けながら少年が言う。

「・・・お風呂から出たら、お勉強しないと・・・」

湯船に浸かり、くつろぐ様に足を伸ばしながら少年が呟いた。

「勉強も頑張らないとダメだよ?梨桜」

「だって難しいんだもん…ぶくぶく」

拗ねるように口で泡を立てる少年を見て、少女は、

ばしゃっ!!

と、思いっきり少年にお湯をかけた。

「にゃあっ!?」

突然お湯をかけられてたじろぐ少年。

「ちょっ・・・いきなりなにするのさお姉ちゃん!!」

若干涙目になりながら少年が怒るように言う。

「言い訳しないの!!ちゃんとやんないと怒られちゃうよ?」

「・・・・はーi」

ばしゃあっ!!

言い終わる前に、少年にお湯がかけられる。

「あははは!!なんか面白い!!」

少女は笑いながらもお湯をかけ続ける。

「わぶっ・・・・お、おねえちゃ・・・」

ツボにハマったのか、爆笑しながら少年にお湯をばっしゃばっしゃとかけ続ける少女。

当然ながら少年もやられっぱなしと言うわけにはいかず、

「やめてってば!!!」

と言い、少女にお湯をかけ返す。

「むっ・・・やったなあ!!!?」

そして案の定始まるお湯のかけ合い。

ばっしゃばっしゃばっしゃばっしゃ!!!!

と2人はお湯をかけ合い続ける。

その時だった。

「なにやってるの2人とも!!!」

バン!!

と風呂場の扉が勢いよく開けられ、美穂が現れた。

「「・・・・・・・・・」」

しまった、という表情のまま固まる2人。

「さっさとあがりなさい!!!!!」

物凄い剣幕で怒鳴られ、2人はびくっと身体を仰け反らせた。

「「は・・・はい・・・」」



「全く・・・」

美穂が少女の頭をバスタオルで拭きながら今日何度目になるかもわからない溜め息を吐く。

本当に、この双子は可哀想だな、と思う。

両親とも会えない、友達もいない・・・。

それでも、こんなに明るく過ごしているのだから、不幸ではないのだろうが。

いつかこの双子がたくさんの友達とたくさんの笑顔を作れるようにしたい。

それが、保護者役を任されている美穂の願いだった。

「よーし梨桜!!勉強するよー!!」

「わかったから!!叩かないでよ!!」

じゃれあう2人を見て、自然と笑顔になる。

こんな日々がいつまでも続いたらな、と。

そんな事を思いながら、2人に勉強を教えるべく、立ち上がる。

「ほらほら!!始めるよ!!」

だけど。

神様は、双子が幸せになる事を許さなかったようで。

事件が起こったのは、次の日の事だった。


────続く────
ゴメンナシャイ。
予想以上にグダグダですね。
まあともあれ新章、追憶ノ欠片に入りました。
何気に新キャラも登場してますね。
長月美穂さん。
水無月家のメイド兼双子の保護者役です。
いい人です。ほんと。
あ、1つ忠告。
この双子が歩む人生は辛すぎます。
かなりエグいです。
それだけは心に留めておいて下さい。
では、今日はこの辺で!