前々から憧れていたこの街で暮らし始めて1年、いろんな街の顔を見てきましたが、1番街がイメージを象るのは深夜の時間帯だなあ…と思います。
だから、夜の散歩が好きです。
店も閉まっていて、人もいない。見渡してみて、この道の形はこんなだったのかとか考えながら歩いています。
そんな中駅前の通りに、80年代パンクのような格好をしてアクセサリーや写真を売っている人をよく見かけていました。
夏のある日、真夜中に下北沢の駅前を歩いているとその男性がフリップを持って、いつものように座っていました。
そのフリップには「今の若者はクソだ。」
そして僕がその前を通りかかろうとした時、そのフリップをさっとめくる。書いてあった言葉は
「でも東京は優しい。」
僕は思わず、笑ってしまいました。
そして、声をかけました。
「話、聞かせてください。」
男性は笑って、いろんな話を聞かせてくれました。
気まぐれでここで店を開いていること、下北沢に長く住んでいること、そしてここでいろんな人達の姿を見てきたこと。
「もともとこの街は尖った場所だった。それが今は、個性も感じない、主張もしない若者で溢れてるんだよ。」と笑っていました。
初対面、そして「若者」の僕に思いの丈を話してくれた男性に、感謝しています。
と同時に、自分ももっと自分らしい言葉で話ができてたらなあと少しの後悔の気持ちがあります。
それを思うと、「ミッドナイト・イン・パリ」の主人公、脚本家ギルは凄いです。
タイムスリップした先のパリで、憧れの偉人ヘミングウェイやガートルードスタインに対して自分の思いをきちんと言葉にして伝えられる。
売れっ子脚本家のギルは、自分の本当にやりたいことは小説を書く事だという葛藤、婚約者のイネズ含め周囲に自分の気持ちを理解してくれる人がいない苦しみを抱えています。
そんな中で訪れたパリの魅力に取り付かれ、ふとしたきっかけで1920年代のパリへタイムスリップします。
キーワードは12時の鐘と、迎えのアンティークカー。
そこで小説家、芸術家、映画監督、数々の歴史上の偉人に出会います。
物語はぶっ飛んでいる中展開はすごく軽快で、すっと受け入れ易いです。
やっぱり、みんな何かを決めるときに背中を押してくれる存在が欲しいと思うんです。ギルにとって真夜中のパリはそんなきっかけをくれるものだったし、希望を感じる作品でした。
2011年、アカデミー賞含め15個もの脚本賞でノミネートされただけあって、さすがウディ・アレン映画と言える作品です。
そういえば下北沢のあの男性、奥さんと娘さんがいらっしゃるとも話してくれました。
最近は夜寒くてめっきり見かけないけど、元気でいらっしゃるならまた暖かくなって会いたいと思っています。

