東京都内の清掃工場で作業員被曝 深刻な放射能汚染 | ちりつも

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東京都内の清掃工場で作業員被曝 深刻な放射能汚染
大量の放射性廃棄物を生み出す「ミニ原発」が都内各所にある

宮城県女川町の「汚染がれき」焼却を予定している東京二十三区清掃一部事務組合は1月18日、汚染焼却灰運搬の作業員が被曝していたことを明らかにした。

10月に区民との意見交換会で被曝の事実を明らかにしながらも、3カ月以上経ってからようやく同組合のホームページで公表。都民から「被曝を隠した」と受け取られかねず、住宅密集地にある清掃工場における被曝と放射能汚染の実態解明を求める声が上がりそうだ。  

同組合によると、「放射性物質を含む焼却灰の処理について」をテーマに昨年10月13日、東京区政会館で区民ら17人と職員12人が参加した「第3回 区民との意見交換会」を実施。東京電力福島第1原発事故による放射能の影響について、同組合施設管理部の大塚技術課長らが説明した。

同組合によると、江戸川清掃工場の作業員の被曝は、昨年7月から9月までの3カ月間で最大0.03ミリシーベルト。

同組合は1時間あたりの被曝線量を公表していないが、汚染焼却灰等を扱う作業時間を月20日勤務で1日5時間と仮定した場合、毎時0.1マイクロシーベルトの被曝量となる。

汚染焼却灰等に接する時間によって値が変化するため、作業時間が短い場合、この数値よりも1時間あたりの被曝線量が高い可能性も考えられる。  

江戸川清掃工場では、昨年6月、放射能濃度測定で飛灰から1キログラムあたり9740ベクレルの放射性セシウムを検出。

昨年12月23日現在、5940ベクレルと依然として高い値が続いている。この飛灰は7月13日からフレコンバッグに詰めて、中央防波堤外側の処分場に排出している。

しかし同組合は「フレコンバッグ自体は鉛などで覆っている訳ではないので、(放射線は)出ていると思います」と、公道上を通行する搬送車両からの放射線放出を認めた。

周辺住民や通行車両にとっては常に被曝の危険にされられていることになる。  

昨年7月から9月までの約3カ月間、江戸川清掃工場だけで約500トンもの汚染焼却灰が出たことを考えると、東京23区内では膨大な汚染焼却灰が清掃工場で「量産」されている。

まさに、大量の放射性廃棄物を生み出す「ミニ原発」が都内各所にあることになる。  

放射性物質を含んだ処理飛灰が出ることを想定していなかったため、江戸川清掃工場では、汚染焼却灰を袋詰めにするための設備を新たに設置。

工場内では原発作業員と同じタイベックの白い防護服を着た作業員が焼却灰を処理。

1年間の被曝線量が1ミリシーベルトを超えないように線量計を持たせている。

さらに江戸川清掃工場の放流水からセシウムを検出した。

この「汚染放流水」は規制値以下として下水道に流されて汚染を拡大していたことも判明。

まるで原発事故現場の様相だ。

同組合管理者の放射能汚染対策への意識の低さも問題だろう。

管理者は西川太一郎・荒川区長。

23区内で最後まで自治体による測定と除染に取り組まず、荒川区民に無用な被曝を強いた人物だ。

清掃工場の作業員に呼吸用保護具を着用させるなど内部被曝防止に配慮する一方、周辺住宅地等で放射性降下物測定をせず住民の被曝対策に取り組んでいない。  

東京都内の一般廃棄物の焼却でさえ、汚染焼却灰の処理や作業員の被曝に悩ませられる中、宮城県女川町の「汚染がれき」受け入れは、清掃工場内の汚染実態を無視した愚策といえよう。

東北大学大学院の土屋範芳教授らが実施した津波堆積物調査では、青森県八戸市から福島県相馬市まで129地点のうち39地点で基準値超のヒ素検出。

放射性物質と毒性の強いヒ素含むがれき焼却の恐れもあり、「汚染がれき」受け入れは危険極まりない選択だ。  

汚染焼却灰を積んだ車両から放射線が放出されていることや、作業員が被曝していることを考えると、周辺住民や作業員の厳格な被曝対策が求められる。

清掃工場は放射性廃棄物を生み出す「汚染発生源」と認めた上で、汚染度の高い廃棄物は専用施設で処理、もしくは放射線量が下がるまで管理型処分場等で一時保管するなど実効性のある対策が必要だ。  

そして最も大事なことは、放射性降下物や空間の放射線量を測定するモニタリングポストを敷地内や周辺住宅地に設置し測定を強化するなど、住民の被曝を最小限に抑えることである。

【汚染焼却灰の管理・保管方法や被曝対策についての問い合わせ先】
東京二十三区清掃一部事務組合 総務部企画室 企画係 電話03-6238-0624

ソース元:東京都内の清掃工場で作業員被曝 深刻な放射能汚染