人間というものは、気分が大事です。気分がくさっていると、立派な知恵才覚を持っている人でもそれを十分に生かせません。また別に悲観するようなことでなくても悲観し、ますます気が縮んでいきます。しかし、気分が非常にいいといままで気づかなかったことも考えつき、だんだんと活動力が増してきます。
私は人間の心ほど妙なものはないと思います。非常に変化性があるのです。これがつけ目というか、考えなければならない点だと思います。そういう変化性があるから、努力すれば努力するだけの甲斐があるわけです。そういう人間の心の動きの意外性というものを、お互いにつかむことか大事だと思うのです。
松下幸之助