こんな月夜には
きみをおんぶして歩くのも
乙なもの
馬鹿野郎!
酔っぱらったきみが叫ぶのも
無理はないや
ちょっと油断すれば
土足でこちらの懐に
踏み込んでくるやつばかり
それでもお月さまは
あんなに丸い
あんなに明るい
馬鹿野郎!
あれっ?
おれの口から
声が聞こえる
ということは―――
きみの長い髪が見える
ぼくがきみに
おんぶされているのか?
ほっそりとした君の背中に
大男のぼくは重すぎる
馬鹿野郎!
今度はお月さまが叫ぶ
あなたたちは重すぎる
ぼくもきみも
お月さまに
おんぶされているのか?
もう何が何だか分からない
コオロギだって
ベルリンフィルのように
演奏を始めた
ぼくの背中に君が
君の背中にお月さまが
それともその反対?
とち狂った月夜の
これは童話であります