友達が爆発した。
例え話ではない。
本当の話だ。
ぼくの家に来て、飲んでいた。
しばらく飲んで、「おれは---」
と言ったとたんに、爆発した。
文字通りの木っ端微塵。
頭も体も足もばらばら。
不思議なことに、出血はなかった。
やわらかな陶器のかけらのようになった。
そして友達は生きていた。
口だけになった口が動いて
「ばらばらばらばらばら」
と呟いている。
ぼくには分かるような気がした。
友達が爆発した理由が。
友達はいわゆるいい人だ。
めったに怒らない。
会社でも家でもにこにこ。
たまに酒を飲んで、愚痴をこぼすぐらい。
溜め込んでいたのだと思う。
いろいろと。
警察と医者と家族に連絡した。
警察は、友達のかけらを持って帰った。
それ以来連絡はない。
医者も、友達のかけらを持って帰った。
それ以来連絡はない。
奥さんは、悲鳴をあげて帰っていった。
それ以来連絡はない。
例外は、彼の子供たちだ。
ときどき、遊びに来て、彼を組み立てるのを
手伝ってくれる。
最初は怖がっていたが、すぐに慣れた。
そう、ぼくは、今、彼をもう一度組み立てている。
ジグソー・パズルのように、ばらばらになった体は、
うまくやれば、くっつけることができる。
眉毛の位置など、多少のずれは起こるかもしれないが。
ばらばらになっても友達は友達。
友達を見捨てることはできない。