僕と満月は、
人生について、
話し合ったりもする。
それほど深刻なものではなく、
世間話といった感じで。
午前一時。
星が降るような夜空。
耳を澄ますと虫の声が聞こえる。
五杯目のブラックコーヒーを飲みながら、
僕が、
「人生はいやなことばっかり。
試験、試験、試験、成績、成績、成績」
「まあまあ」
と、満月。
これは彼女の口ぐせ。
あとの二つは、
「心配しないで」
と「何とかなるわよ」
「試験、試験、試験、成績、成績、成績」
ちょっと意地悪な気持ちになり、
僕は繰り返す。
満月は顔をしかめたが、
「まあまあ」
と、また言った。
「まあまあじゃない!」
ぼくは怒鳴る。
いつものようにとがった僕。
「いじわる」
満月の金色の顔が、すうっと灰色になる。
かわいそうになり、
「ごめんね」と、僕。
「うん」
満月の満面の笑顔。
意地悪な気持ちがまたむくむくと湧いてきて、
「彼女がほしい。ガールフレンドがほしい。
彼女いない歴20年。さびしい人生、めぐまれない青春」
と、僕。
とがった僕。意地悪な男。
「何とかなるわよ---」
満月は言ったけど、
いつもより、はっきりしていない。
そのあと、
「あたしがいるじゃない---」
ぽつんと言って、真っ赤になった。
かわいい満月。
とがった僕とまるい君と。
「ありがと」
僕も照れくさく、
「う」をわすれて、
ぶっきらぼうに言った。