■引っ越し | Not Found 第3章

■引っ越し

隣のマンションに住んでいる友達がこの度結構遠い所に引っ越す事になって、
部屋にあるもの何でも持って行っていいよって言うので、早速そいつの部屋に行って、
座椅子とプレステと電話機とその他もろもろ計12点10万円相当を貰いました。
まあそれはいいんだけど、なんて言うか、引っ越しの手伝いとかしてて、
そいつの部屋がだんだんとがらーんってなっていくのを見てすごくブルーになりました。
隣のマンションてこともあって夜中とかでもしょっちゅう互いの部屋を行き来してたし、
お前らにはわかんない俺とそいつだけの空間がそこにはあったわけよ。
週に5日はそいつと夜メシ一緒に食べててな、メシの後、俺が煙草を吸うとそいつが
決まって煙草の害について一から説明し出すんだよ。俺はそんなもん分かってて
吸ってるからそれらがすげー鬱陶しかったんだけどそれももう聞けないと思うと
なんだか寂しい気持ちもするし、それよりなにより明日から夜メシ一人で食うんだと
思うとすごくブルーになるんだよな。
これは一人暮ししてる連中なら分かってくれると思うけど、夜メシを一人で
食うって事はすごく辛い事なんだよ。
そりゃお前らは家に帰ったらママの作った暖かいみそ汁が置いてあるかも知れないけどよ、
俺ら一人暮ししてる連中はな、家に帰っても冷たいインスタントのみそ汁しかないんだよ。
お前らは家に帰ったら、採れたてのコシヒカリ産の暖かいご飯があるかもしれないけどよ、
俺らはカリフォルニア米のパサパサした臭いメシをな、裸電球の下で一人で食ってるんだよ。
まあそれは俺のさじ加減一つなんだけど。
でもそれほど夜メシを一人で食うって事は俺には耐えられない事であってな。
そうなると結局やっぱり結婚に憧れるんだよな。
お前らはよく結婚願望があるとかないとか騒いでいるけど、
そんなもんな一人暮しの奴らなら例外なく結婚願望あるんだよ。
そこには相手への責任とか銭とかそういうもんは一切なくて、
ただ向かい合って一緒に夜メシを食いたいっていう、それだけなんだよ。
まあこれが分かるのは、米寿すぎたあたりからなのでこの辺にしておく。
まあそんなこんなで友達は昨日、実家のある徳島のド田舎へと帰って行きました。
それと今、この貰ったプレステをヤフーオークションに出品しようかどうか、
冷酷超人こころんぱみたいな事を考え中です。かしこ。