■中島みゆき | Not Found 第3章

■中島みゆき

中島みゆき、紅白出場。

ここ4、5年、大晦日は地元の連れの家で紅白を見ながら麻雀をして年を越している。
今の若い奴ら、湾岸戦争を経験していない今の若い奴らはどうか知らないけど、
俺らが若い頃はやっぱり大晦日と言えば、紅白だったんだ。これを見なきゃ年が越せない。
いやいやそれ以前に選択肢が紅白しかなかった。他の番組がなにをやっていたのか全然記憶にない。
その頃の紅組トップバッターと言えば、森口博子だった。森口博子が歌を歌うのを見るのは
1年の内でその時だけだったんだけど、はっきり言って森口博子はめちゃくちゃ歌が上手くて、
その森口博子がトップを飾る紅白に威厳と格を感じたものだった。
まあ森口博子に関してはAC兄さんの方がうるさいだろうからこのへんにしておく。
対するその頃の白組の目玉は、エックスジャパンだった。当時はまだまだ演歌歌手が幅をきかせていて、
袴や着物を着たそれら大物演歌歌手の中で、金色の髪の毛をおっ立てて悪魔みたいな化粧をして、
横文字を叫ぶエックスジャパンが幼い俺の目には、すごく斬新で華やかでグロテスクに映ったんだ。
それでも母親なんかは毎年エックスジャパンを見るたびに、あんな大人になっちゃ駄目だよって。
勉強しないとあんなんなっちゃうんだよって俺を諭していた。
そう、紅白はその年最後の教育の場でもあったのかも知れない。

その紅白に今年は中島みゆきが出るという。これは脅威だ。
中島みゆきに関しては俺かイチリンかというぐらい中島みゆきには一目を置いているつもりだ。
俺は中島みゆきの歌の中で「狼になりたい」という曲が1番好きなのだが、
「夜明け間際の吉野家では」の詩で始まるその曲は、夜明けの吉野家の様子を中島みゆき節で
見事に歌った歌なのだが、俺はそれを聴いて涙し、鬼作「吉野家」を完成させたのだ。
お前らが馬鹿の一つ覚えみたいに、よーしパパどうのこうのとか言ってる根底には、
中島みゆきの想いが脈々と流れている事をどうか覚えておいてほしい。

時が経ち紅白も年々、浜崎やらグレーやらウンコみたいな商業優先主義的唄い屋が、
イエーイ来年発売のニューシングル買ってねと言わんばかりにド下手な歌を歌って
本当に嫌になるのだが、それでも今年中島みゆきが出る事には一光の救いを感じるわけだ。
腐っても紅白。今年も国士無双を夢見ながらその年の流行歌を聞く事になるだろう。