■ | Not Found 第3章

もう6年も前か。大好きなマティーニを呑む俺の横で女がこう言ったんだ。
「私ね、男に振られた時って、絶対にね、最後にね、花の名前を言ってやるんだ。
花の名前。それはなんでもいい。ユリでもヒマワリでもイチョウでもなんでもいい。
とにかく男が覚えるぐらい何度でも花の名前を言ってやるの」
俺がなんでと聞く前に女は言葉を続けた。
「だって、花は毎年必ず咲くから」
それを聞いて、背中に流れた冷たい感触を今でも憶えている。

元々あの日は、コンパであぶれただけの二人だった。
JR大阪環状線の始発の時間まで東通りで呑んで、途中の鶴橋まで一緒に帰った。
電車を降りてすぐに電話が鳴った。番号が本当か確かめたかったという。
それからしばらくして長瀬町にアパート借りてママゴトをした。4ヶ月で駄目になった。
今年も桜は咲いて、嫌でもそのおねぇちゃんを思い出した。俺も25になった。

 
 
 
川端康成好きの知的なACさんへ

皐月賞の件なんですが、とある政府筋から極秘情報を入手しました。
藤田のラントゥザフリーズで十中八九間違いないとのことです。ここは勝負です。
今日の午後15時までに三井住友のほうにチェージュ-お願いします。