■ | Not Found 第3章

第75回アカデミー賞作品賞受賞「シカゴ」

「お薦めの映画を教えて下さい」というメールをたまに頂く事があるのだが、非常に困る。
映画通にとって、お薦めの映画を教えるっていうことは、自分の彼女を紹介するようなもの。
映画を貶すのは簡単だよ。でも映画を誉めて、それを人に薦めるのはすごく勇気がいる事なんだ。
だってヘタにわけのわかんない映画薦めてそれ見て、つまんなくて、なんだこの人こういうのが
好きなんだって思われるのが恐い。つまり自分のセンスがバレるのが恐いんだ。
連れと吉原なんかに行って、指名するのと一緒。誰でもいいよって言ったら、
どういうのが好きなのかわかんないけど、この人でお願いしますって
パネルを指差した瞬間に、自分の趣味だとかセンスだとか全部バレちゃうわけだから。
ああ、こいつこんなのが好きなんだって。

しかしそれを踏まえた上でも、今年オスカーの作品賞を受賞した「シカゴ」だけは薦めずにいられない。
まあ最近はアカデミー賞なんてのは映画ファンの間じゃギャグにもなんなくて、
この映画アカデミー賞取りそうですねなんて言ったら皮肉でしかなかったんだけど、
「シカゴ」みたいな映画が作品賞を取るってことは、アカデミー賞もまだまだ捨てたもんじゃないなと。
アカデミー賞は死んではいなかった、なんて言ってよ。
これは本当に観るべき。こういう歴史に残る素晴らしい映画を観ずして、
馬鹿みたいに口開けてマトリックスとか観てるからお前らは駄目なんだよな。
本当にな、映画に関しては俺を信じていれば絶対に間違いないから。
映画に関する個人のHPをたまに見たりするけど、もうそのほとんどは
いかにも大学生っぽい、どうしようもない。そんでたいていそういうHPは、
ハリウッドの事を批判してるんだよな。で、キューブリックとか大好きだから。
いや本当は好きじゃないんだけど、好きって事になってるから。
好きな映画「時計仕掛けのオレンジ」なんて書いちゃって。好きなわけないんだから。
でもそう書くと賢そうに見えるからしょうがない。
もう俺は決めたから。ネオン輝く「シカゴ」のエンドロールを観ながら俺は決めたから。
30までに金を貯めて、それから仕事やめて、映画を撮る。俺は撮るべき人間なんだ。
映画を撮らない人生なんて意味がないように思えてきた。
これからは、監督と呼べ。