29歳の有馬 | Not Found 第3章

29歳の有馬

花見、海水浴、紅葉、温泉、クリスマス、大晦日。
今年一年、何を見るにも何をするにも、20代最後の、という言葉が頭をちらついた。
早く30代になりたい、20代の奴らと一緒にされたくないと22の頃から思ってた俺もいざこうして29の有馬記念を目の前に迎えると感慨深いものがある。
思えば22で引き篭もり、23で吉野家を書き殴り、24で東京に上り、25でバカラに飲まれ、26で400万借り、27で女に嵌められ、28でアル中を患い、今年29までお馬さんに関してだけ言えば10年間で2000万近く負けた。でも、じゃあ、お馬さんをやらなかったらその2000万が丸々残っていたかというとたぶんそんなこともないのだろう。
今年の有馬記念。
ウオッカ、ダイワスカーレットに用はない。中山の二千五百はテンジンショウグンやダイユウサクをも勝たせてしまう複雑な仕掛けがいくつもある。勝つのはピッタリ内を走った先行馬、有馬3連勝中のサンデーの血、近5年で4勝の外国人ジョッキー。該当するのは1頭しかいない。
20代の負けは20代の内に取り返す。
ハイアーゲームに、全部。