■ | Not Found 第3章

ヤボ用で府立図書館に行ってきた。
平日の昼間だというのに人でごった返していたが、館内はおそろしく静かだ。
本をめくる音と司書が判子を押す音だけが静かに奏でるように響いている。
何かこの空間だけ時間が進む速度が緩やかなようにも感じる。
俺は所謂この図書館の静けさというやつがたまらなく苦手だ。発狂したくなる。
すっ裸になって館内を走り回りたい衝動にかられる。
まあ、それはおそらく万人がそうであろうからこの際、特筆すべき事ではない。
俺は目当ての書物を探し出すと適当に座席に着いた。
手帳を開け、欲しい知識だけを抜き取り書き写していった。
俺は百も数えぬ内に集中力が切れ、周りを見渡す。
追い込みの受験生だろうか若い男性、散歩の途中に立ち寄ったのだろうか御老人。
俺の前にはこちら向きに25,6歳OL風の女性。
伯爵のようなインテリな眼鏡をかけ目を細めて書物を読みふけっている。
スカした顔しやがって。お前だってどうせぼーぼーなんだろ?
そう思った瞬間、女性がこちらをチラッと見た。目が合った。
俺は慌てて鞄からウォークマンを取りだし瞳を閉じて眠るふりをした。
相変わらず時間はやけに緩やかに感じた。この空間が少しだけ好きになった。