■ | Not Found 第3章

先日、友人が禁煙5日目にして悲傷な戦死を遂げた。
馬鹿だけど人懐っこくて、力持ちだけど優しくて。そんな奴だった。
禁煙2日目まではなんともなかったんだ。そう、なんとも。
3日目、友人の右手が小刻みに震えるのを俺は見て見ぬフリをした。
4日目、友人は何か幻覚を見てるかのようにおどおどし始めた。辛くて見ていられなかった。
そして5日目。夜中ふと目を覚ましたら、コタツで寝ているはずの友人の姿がない。
俺は心配になりコートを羽織り探しに出た。
友人はすぐに見つかった。
近くの屋台でラーメンをむしゃぶりつくようにすすっていた。
その後、震える手でしわくちゃの煙草に火をつけた。
「西・・・」俺は声を掛けた。
友人は俺に気づいた。「ち、違うんや!わいは、わいは!」
俺は生まれて初めて人を殴った。殴って、殴って、殴り倒した。
そこに愛情や友情があったかというと、正直自信はない。
友人が禁煙に失敗したという話はすぐに仲間内に広がった。
うそつき、口だけ、根性なし。一週間続いた罵倒の嵐は彼を再起不能にするのには十分過ぎた。
友人はそれ以来、死んだ魚の様な目をして毎日なにかブツブツ呟いている。
もう昔の彼は死んでいた。
俺は俺から友人を奪った煙草がたまらなく憎く思えた。仇は絶対獲る。
一月十九日、俺は禁煙を決意した。
もちろん禁煙が簡単じゃないのは俺も重々知っているつもりだ。
失敗の可能性もないとは言えない。
しかし、まったく策がないわけじゃない。
あれは、いきなりやめようとするから失敗するのだ。
そんなもん昨日まで20本も30本も吸ってた奴がいきなり0本になるわけがない。
俺は考えた。
煙草1本吸うごとに貯金箱に500円入れる。これだ。
1日20本吸ったら1万円だ。10本なら5000円。
食後だけでもどうしても吸いたいなら1日3本で1500円かかる。
たぶん最初の方は金を貯金箱に入れてでも吸うだろう。
でもその内、金が底をつき、吸う本数は確実に減ってくるはずだ。
最終的にはゼロにする。
昔これと同じ事をおなにーでやった事がある。
おなにー1回するごとに貯金箱に1000円。
1ヶ月後、貯金箱あけたら新しいコンポが買えた。
ちんぽをいぢってこんぽを買った男、新爆。そんな事はどうでもいい。
兎に角、俺は禁煙する。