アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170123
【曇】《22日の続き》
「お前の事だ、まだ何かあるだろう。もう怒らないから言ってみろ」
これ以上ネタを明かすと、色々と不都合があると思い、「もうありません」と答えると、何人かの裏切者が即座に「エヘン、エヘン」と咳払いをして先生に訴えた。
「ホーレ見ろ、あいつらがウソだと言ってるじゃないか。あきらめて先生に話せ」
私は仕方がないので、洗いざらい白状した。
「あと御破算刑」
「何だそれは」
「あのソロバンの上に座らせて10数える刑」
私は黒板の脇に置いてある先生用の大ソロバンを指差して説明した。
「お前な、あんな上に座らされたら、痛くてどう仕様もないだろう」
「ウン、だから刑になる」
「他には」
「あまりきちょこら刑」
「あまりき…何だそりゃあ」
学校の東南の角の直ぐ外側に立っている、松崎の便所の煙突の先に口を入れて、あまりきちょこらと20回唱えるのだが、どんなに息の続く奴でも10回が限度なので、刑をかけられた奴は、松崎の便所の臭いを思い切り吸い込む事になる。
そこはなぜか土が盛ってあり、上に登ると学校の生垣越しにちょうど顔の高さに煙突の口が来るのだ。
刑は相手をうしろ手に押さえて動けないようにして、一人が頭を持って煙突の先に口が入るように押し付けるから、いくらもがいても逃げられる奴はいない。
この刑は極刑の部類に属し、余程の悪以外にはやられないはずなのだが、なぜか男子のほとんどは、この刑に泣いた経験があるのだ。
私は「あまりきちょこら刑」の内容を、怒らないという言葉を信じて先生に説明した。
先生はしばらくの間呆れたような顔で私を見ていたが、「このバカが」と突然言うなり、持っていた出席簿で思い切り頭をぶっ飛ばした。
私は何となくそれを察知していたから、紙一重の差で先生の攻撃を避ける事が出来た。
「逃げるかコラッ」
「だって怒らないって言ったから話したのに、ズッリィー」
「何がズルイだ。勘弁の限界を越えてる。戻って来い。ホラ戻って来い」
「ヤダー、ぶん殴るからヤダーッ」
「殴らないから戻って来い。本当にやらないから。コラッ、先生の言う事が聞けないのか」
結局私は捕まって、しぼりにしぼられてから解放された。http://www.atelierhakubi.com/
「お前の事だ、まだ何かあるだろう。もう怒らないから言ってみろ」
これ以上ネタを明かすと、色々と不都合があると思い、「もうありません」と答えると、何人かの裏切者が即座に「エヘン、エヘン」と咳払いをして先生に訴えた。
「ホーレ見ろ、あいつらがウソだと言ってるじゃないか。あきらめて先生に話せ」
私は仕方がないので、洗いざらい白状した。
「あと御破算刑」
「何だそれは」
「あのソロバンの上に座らせて10数える刑」
私は黒板の脇に置いてある先生用の大ソロバンを指差して説明した。
「お前な、あんな上に座らされたら、痛くてどう仕様もないだろう」
「ウン、だから刑になる」
「他には」
「あまりきちょこら刑」
「あまりき…何だそりゃあ」
学校の東南の角の直ぐ外側に立っている、松崎の便所の煙突の先に口を入れて、あまりきちょこらと20回唱えるのだが、どんなに息の続く奴でも10回が限度なので、刑をかけられた奴は、松崎の便所の臭いを思い切り吸い込む事になる。
そこはなぜか土が盛ってあり、上に登ると学校の生垣越しにちょうど顔の高さに煙突の口が来るのだ。
刑は相手をうしろ手に押さえて動けないようにして、一人が頭を持って煙突の先に口が入るように押し付けるから、いくらもがいても逃げられる奴はいない。
この刑は極刑の部類に属し、余程の悪以外にはやられないはずなのだが、なぜか男子のほとんどは、この刑に泣いた経験があるのだ。
私は「あまりきちょこら刑」の内容を、怒らないという言葉を信じて先生に説明した。
先生はしばらくの間呆れたような顔で私を見ていたが、「このバカが」と突然言うなり、持っていた出席簿で思い切り頭をぶっ飛ばした。
私は何となくそれを察知していたから、紙一重の差で先生の攻撃を避ける事が出来た。
「逃げるかコラッ」
「だって怒らないって言ったから話したのに、ズッリィー」
「何がズルイだ。勘弁の限界を越えてる。戻って来い。ホラ戻って来い」
「ヤダー、ぶん殴るからヤダーッ」
「殴らないから戻って来い。本当にやらないから。コラッ、先生の言う事が聞けないのか」
結局私は捕まって、しぼりにしぼられてから解放された。http://www.atelierhakubi.com/