アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170122
【晴】《21日の続き》
「むぐし刑」は、その後途切れる事なく、先生達にも見付からずに密かに続けられたが、ある時東京からの転校生を、歓迎の意も含めて「むぐし刑」にしたところ、そいつは苦しさのあまりひきつけを起こして大騒ぎになってしまった。
もちろん刑に加わった全員が、先生からこっぴどく叱られたが、その事件がきっかけとなり「むぐし刑」の実態が明るみになり、厳重な禁止令が出てしまった。
「本当にお前らは何を考え出すか、呆れて物も言えないよ。人間がくすぐられるとどんなに苦しいか、嫌という程分かってるだろうに、どうしてそういう事をするのか、いったい誰が最初に始めたんだ」
皆は黙っていたが、チラチラと私の方を見る様子から、先生は張本人が誰なのか直ぐに察知して、「渡辺、またお前か。お前なんだな。先生もおそらくそんな事だろうとは思っていたが、やっぱりお前だったか。こっちへ来い」
私は恐る恐る教壇の前まで出て行くと「あのなあ、お前の頭の中にはイタズラの事しか頭にないのか。むぐし刑なんて、どうしたら考えつくんだ。そんな物を考えつく位だから、他にも何か考えた刑があるんだろう。言ってみろ」と言った。
私はこうなった以上、正直に話した方がいいと思い、「いくつかあります」と答えた。
「ホー、どういう刑だ、言ってみろ」
「母ちゃん勘弁刑と、ゲーゲー刑、それからフルチン刑」
「何だその母ちゃん勘弁刑というのは」
「刑にかける奴を折り曲げて、無理矢理柔軟をさせる刑」
「何でそれが母ちゃん勘弁刑なんだ」
「小林の母ちゃんが、小林をしめる時に使うから」
「ゲーゲー刑は」
「学校の便所のマンホールの蓋開けて、その上に頭を突き出して息させる刑。物凄く臭えから大抵の奴はゲーゲーする」
「フルチン刑は」
「ズボンとパンツ剥ぎ取ってフルチンにして、そいつを置き去りにして逃げる刑」
先生は黙って私を見ていたが、ぐっと笑いを堪えているのが私にもみんなにも分かった。
そこで笑ってしまったら先生の立場がないと思ったのか、手に持った出席簿で私の頭をいきなり引っ叩いた。
しかし、それがかえって良いきっかけになってしまい、教室中が爆笑の渦でいっぱいになって、先生の威厳は丸潰れだった。http://www.atelierhakubi.com/
「むぐし刑」は、その後途切れる事なく、先生達にも見付からずに密かに続けられたが、ある時東京からの転校生を、歓迎の意も含めて「むぐし刑」にしたところ、そいつは苦しさのあまりひきつけを起こして大騒ぎになってしまった。
もちろん刑に加わった全員が、先生からこっぴどく叱られたが、その事件がきっかけとなり「むぐし刑」の実態が明るみになり、厳重な禁止令が出てしまった。
「本当にお前らは何を考え出すか、呆れて物も言えないよ。人間がくすぐられるとどんなに苦しいか、嫌という程分かってるだろうに、どうしてそういう事をするのか、いったい誰が最初に始めたんだ」
皆は黙っていたが、チラチラと私の方を見る様子から、先生は張本人が誰なのか直ぐに察知して、「渡辺、またお前か。お前なんだな。先生もおそらくそんな事だろうとは思っていたが、やっぱりお前だったか。こっちへ来い」
私は恐る恐る教壇の前まで出て行くと「あのなあ、お前の頭の中にはイタズラの事しか頭にないのか。むぐし刑なんて、どうしたら考えつくんだ。そんな物を考えつく位だから、他にも何か考えた刑があるんだろう。言ってみろ」と言った。
私はこうなった以上、正直に話した方がいいと思い、「いくつかあります」と答えた。
「ホー、どういう刑だ、言ってみろ」
「母ちゃん勘弁刑と、ゲーゲー刑、それからフルチン刑」
「何だその母ちゃん勘弁刑というのは」
「刑にかける奴を折り曲げて、無理矢理柔軟をさせる刑」
「何でそれが母ちゃん勘弁刑なんだ」
「小林の母ちゃんが、小林をしめる時に使うから」
「ゲーゲー刑は」
「学校の便所のマンホールの蓋開けて、その上に頭を突き出して息させる刑。物凄く臭えから大抵の奴はゲーゲーする」
「フルチン刑は」
「ズボンとパンツ剥ぎ取ってフルチンにして、そいつを置き去りにして逃げる刑」
先生は黙って私を見ていたが、ぐっと笑いを堪えているのが私にもみんなにも分かった。
そこで笑ってしまったら先生の立場がないと思ったのか、手に持った出席簿で私の頭をいきなり引っ叩いた。
しかし、それがかえって良いきっかけになってしまい、教室中が爆笑の渦でいっぱいになって、先生の威厳は丸潰れだった。http://www.atelierhakubi.com/