アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170116
【晴】《15日の続き》
なぜ二人が私を馬鹿だと言いふらしていたのかは、思い当たる事が多過ぎてよく分からないが、多分あの事だろうという見当はつくのだ。
それは二日前の理科の授業の時だったが、井戸の手押しポンプを動かすと、なぜ水が汲めるのかを説明しろという質問に、いくら考えても分からなくて答えられなかった。
けれど、結局は学年一の秀才をはじめ、質問した先生にだって説明する事が出来なかったのだ。
どうしても分からないから答を教えてくれとせがむ私達に、先生はあの手この手ではぐらかそうと四苦八苦していたが、ついに終鈴までごまかし切れず、「ポンプの弁が上がって行くだろう。ホーラこんな風に…」と手まねでやって見せながら、「それにつれて、ほーら水も上がって来るだろう」とやったものだから、これを見逃す良い子など一人だっている訳がなく、ほとんどの男子はイスから立ち上がって、「アー、アー、そんなんごまかしだ。先生分かんねえからごまかしてるんだ。きぃたねえー、先生のクセに分かんねえんだ」と、もう大騒ぎで先生を野次った。
もちろん私も人一倍大きな声で喚き散らしたのは言うまでもない。
「何がごまかしだよ。こうやって水はちゃんと上がって来るじゃないか。これのどこがごまかしだよ」
先生は何とか私達を納得させようと必死で手まねも加えて説明した。
私は透かさず「だって弁が上がると、どうして水も上がって来るのか、そこのところを知りたいんだもん」と食い下がると、みんな「そうだ、そうだ」と口を揃えて同調する。
先生は顔を真っ赤にして「それはぁ、そのような原理が働くからに決ってるじゃないか」と大声で怒鳴りつけて来た。
すると今度は、女子の一部までも立ち上がって、「先生、私達はその原理がどんなものなのかが知りたいんです」と来たもんだ。http://www.atelierhakubi.com/
なぜ二人が私を馬鹿だと言いふらしていたのかは、思い当たる事が多過ぎてよく分からないが、多分あの事だろうという見当はつくのだ。
それは二日前の理科の授業の時だったが、井戸の手押しポンプを動かすと、なぜ水が汲めるのかを説明しろという質問に、いくら考えても分からなくて答えられなかった。
けれど、結局は学年一の秀才をはじめ、質問した先生にだって説明する事が出来なかったのだ。
どうしても分からないから答を教えてくれとせがむ私達に、先生はあの手この手ではぐらかそうと四苦八苦していたが、ついに終鈴までごまかし切れず、「ポンプの弁が上がって行くだろう。ホーラこんな風に…」と手まねでやって見せながら、「それにつれて、ほーら水も上がって来るだろう」とやったものだから、これを見逃す良い子など一人だっている訳がなく、ほとんどの男子はイスから立ち上がって、「アー、アー、そんなんごまかしだ。先生分かんねえからごまかしてるんだ。きぃたねえー、先生のクセに分かんねえんだ」と、もう大騒ぎで先生を野次った。
もちろん私も人一倍大きな声で喚き散らしたのは言うまでもない。
「何がごまかしだよ。こうやって水はちゃんと上がって来るじゃないか。これのどこがごまかしだよ」
先生は何とか私達を納得させようと必死で手まねも加えて説明した。
私は透かさず「だって弁が上がると、どうして水も上がって来るのか、そこのところを知りたいんだもん」と食い下がると、みんな「そうだ、そうだ」と口を揃えて同調する。
先生は顔を真っ赤にして「それはぁ、そのような原理が働くからに決ってるじゃないか」と大声で怒鳴りつけて来た。
すると今度は、女子の一部までも立ち上がって、「先生、私達はその原理がどんなものなのかが知りたいんです」と来たもんだ。http://www.atelierhakubi.com/