アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170109
【晴】《8日の続き》
「甘酒だって沢山飲むと酔っ払うんだからね」
夜廻りが終わって皆で甘酒にありつき、ふうふうしながら夢中で飲んでいる時、京子ちゃんや他の女子が知った風な事を言い始めた。
「んな事ねえよ。甘酒じゃ絶対に酔っ払わねえもん。酔っ払うのは甘酒が出来そこなってドブロクになった時だもん」
クン坊は時々大人のような事を知っているから不思議だった。
「それじゃあドブロクを飲んだ事があるんかい。飲んで酔っ払った事があるんかい」
京子ちゃんが口を尖らせムキになってクン坊に食って掛かると、「あるさ。子供は飲んじゃダメって母ちゃんが言ってたけど、盗んで飲んで人見先生に診てもらったもん」
「子供が酔っ払って医者に診てもらえば不良だもん」
「不良じゃねえよ。だって一回だけだもん。顔が真っ赤になって息が苦しくなって倒れただけだもん」
私は自分より年下のクン坊が、ぶっ倒れるほど酒を飲んだと聞くと、何だかクン坊が大人のように見えて奇妙な気持ちになった。
「ドブロクは作っちゃいけないんだからね。作ったのが分かると警察に連れて行かれるんだから」
京子ちゃんは口ゲンカに負けるのが悔しくて、最後には警察まで引っ張り出して来た。
「んな事ねえよ。この辺の家じゃみんなドブロク作ってるもん。それだって警察に捕まった人なんか誰もいねえもん」
クン坊も京子ちゃんに負けてはいない。
実際にクン坊の言った通り、我が家はもちろん、この辺の家では大抵ドブロクを作っていた。
本当は京子ちゃんの言い分を聞くまでもなく、法律違反なのは子供でも知っていたけれど、あまり罪の意識はなかったようだ。
いずれにしてもドブロクの事なんか、私達子供には全く関わりのない事だった。http://www.atelierhakubi.com/
「甘酒だって沢山飲むと酔っ払うんだからね」
夜廻りが終わって皆で甘酒にありつき、ふうふうしながら夢中で飲んでいる時、京子ちゃんや他の女子が知った風な事を言い始めた。
「んな事ねえよ。甘酒じゃ絶対に酔っ払わねえもん。酔っ払うのは甘酒が出来そこなってドブロクになった時だもん」
クン坊は時々大人のような事を知っているから不思議だった。
「それじゃあドブロクを飲んだ事があるんかい。飲んで酔っ払った事があるんかい」
京子ちゃんが口を尖らせムキになってクン坊に食って掛かると、「あるさ。子供は飲んじゃダメって母ちゃんが言ってたけど、盗んで飲んで人見先生に診てもらったもん」
「子供が酔っ払って医者に診てもらえば不良だもん」
「不良じゃねえよ。だって一回だけだもん。顔が真っ赤になって息が苦しくなって倒れただけだもん」
私は自分より年下のクン坊が、ぶっ倒れるほど酒を飲んだと聞くと、何だかクン坊が大人のように見えて奇妙な気持ちになった。
「ドブロクは作っちゃいけないんだからね。作ったのが分かると警察に連れて行かれるんだから」
京子ちゃんは口ゲンカに負けるのが悔しくて、最後には警察まで引っ張り出して来た。
「んな事ねえよ。この辺の家じゃみんなドブロク作ってるもん。それだって警察に捕まった人なんか誰もいねえもん」
クン坊も京子ちゃんに負けてはいない。
実際にクン坊の言った通り、我が家はもちろん、この辺の家では大抵ドブロクを作っていた。
本当は京子ちゃんの言い分を聞くまでもなく、法律違反なのは子供でも知っていたけれど、あまり罪の意識はなかったようだ。
いずれにしてもドブロクの事なんか、私達子供には全く関わりのない事だった。http://www.atelierhakubi.com/