アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170101 | アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草

アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/170101

 【晴】
 前の日の大晦日で少し遅くまで起きていたのに、元旦はいつもより早目に起きなければならなかった。

 年始客がたて込む前に、子供は食事を済ませておかなければならないからだ。

 普段は昼食を除き、大抵家族全員が揃って食事を摂るのだが、元旦はなかなかそういう訳にはいかず、皆めいめいに食卓につき、おせち料理と雑煮を味わったあと、私達は学校に登校した。

 あの頃の元旦は登校日になっていて、全員が講堂で校長の年頭の挨拶を聞いた後に教室へ戻り、休み中の近況を確かめ合い、最後にみかん一個と紅白のお菓子を貰って帰宅した。

 家に戻ると、私達は期待に胸をふくらませて、親や大人達からのお年玉を受け取り、勇んで近所の仲間がたまっている場所に急いだ。

 お互いのお年玉を見せびらかし合うためだったが、時には信じられない金額を見せつけられて、シュンとした事もあった。

 正月の遊びは歌に歌われた通り、コマ廻し、タコあげ、羽根つき、そしてカルタとりに福笑いが中心だった。

 あの頃は大晦日の夜に、正月の晴れ着と下着靴下まで新調してもらい、次の朝起きぬけに着るのが楽しみで、子供ながら身も心も引き締まる気がした。

 正月の晴れ着はその年の前半のよそ行きとなり、新しい服の感触を楽しめるのは三が日までだったと思う。

 あとは普段着に着替えさせられ、何となく拍子抜けがしたものだった。

 それでも正月は元旦に始まり、三が日、松の内、小正月、どんど焼き、鏡開きと、途切れながら一月いっぱい続いた。http://www.atelierhakubi.com/