アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/161228
【晴】《27日の続き》
山本と宮内の口論は周囲も巻き込んで、その後数日間続いたが、このままでは埒があかないので、最終的には先生に訳を話して、どちらが正しいのか結めてもらおうという事になり、私達は放課後職員室に行った。
担任の川島先生の机のまわりに立った私達は代る代る事情と説明をすると、川島先生だけでなく、周囲の先生達も集まって来て話を聞いてくれた。
私達が話し終わり、「先生どっちが正しいのか教えて下さい」と言うと、先生は「ウーンこりゃまたえらく難しい話を持ち込んで来たもんだね」と頭を抱えながらも、少し嬉しそうだった。
川島先生をはじめ、何人かの先生方が質問に答えてくれたが、その中には実際に戦争に行っていた先生も少なくなかった。
「確かに民主主義や自由主義は決して完璧ではないし、多くの問題点を持っているのも確かだろうな。しかし、これだけははっきりしている事がある。それは今の日本と世界の平和は、日本だけでも四百万人以上、世界中では数千万人という人の尊い犠牲の上に礎かれたものだから、この平和だけは、死んで行った人達のためにも、絶対に守っていかなければならないのだから、もう二度と戦争はしないという強い信念を守り育てる事が何より大切だという事だ。時代が変わって、世の中が少し狂い始めて来ているのも事実だろうが、戦後の良識ある国々は、大抵は自由平等を掲げた民主国家をめざしている以上、日本もそれにならって進む以外に道はないのだと思う。軍国主義や独裁主義に陥った事の深い反省と、戦後の新しい国作りへの堅い決意を、亡くなった多くの人達へ捧げる事が、生き残った人のつとめかもしれないな」
先生方の助言は、大体こんな内容だった。
「でもな、こういう問題を話し合う事は、とても大切な事なんだぞ。お前達はえらい。いつも悪さばかりしているだけじゃないって事が分かって、先生も嬉しいよ」
私達は思っていた以上に話が大きくなってしまい、何だかうしろめたい気持ちで職員室を出た。http://www.atelierhakubi.com/
山本と宮内の口論は周囲も巻き込んで、その後数日間続いたが、このままでは埒があかないので、最終的には先生に訳を話して、どちらが正しいのか結めてもらおうという事になり、私達は放課後職員室に行った。
担任の川島先生の机のまわりに立った私達は代る代る事情と説明をすると、川島先生だけでなく、周囲の先生達も集まって来て話を聞いてくれた。
私達が話し終わり、「先生どっちが正しいのか教えて下さい」と言うと、先生は「ウーンこりゃまたえらく難しい話を持ち込んで来たもんだね」と頭を抱えながらも、少し嬉しそうだった。
川島先生をはじめ、何人かの先生方が質問に答えてくれたが、その中には実際に戦争に行っていた先生も少なくなかった。
「確かに民主主義や自由主義は決して完璧ではないし、多くの問題点を持っているのも確かだろうな。しかし、これだけははっきりしている事がある。それは今の日本と世界の平和は、日本だけでも四百万人以上、世界中では数千万人という人の尊い犠牲の上に礎かれたものだから、この平和だけは、死んで行った人達のためにも、絶対に守っていかなければならないのだから、もう二度と戦争はしないという強い信念を守り育てる事が何より大切だという事だ。時代が変わって、世の中が少し狂い始めて来ているのも事実だろうが、戦後の良識ある国々は、大抵は自由平等を掲げた民主国家をめざしている以上、日本もそれにならって進む以外に道はないのだと思う。軍国主義や独裁主義に陥った事の深い反省と、戦後の新しい国作りへの堅い決意を、亡くなった多くの人達へ捧げる事が、生き残った人のつとめかもしれないな」
先生方の助言は、大体こんな内容だった。
「でもな、こういう問題を話し合う事は、とても大切な事なんだぞ。お前達はえらい。いつも悪さばかりしているだけじゃないって事が分かって、先生も嬉しいよ」
私達は思っていた以上に話が大きくなってしまい、何だかうしろめたい気持ちで職員室を出た。http://www.atelierhakubi.com/