アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/161219 | アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草

アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/161219

 【晴】
「いちれつらんぱん(意味不明たぶんでたらめ)破裂して、にいちろおせんそお(日露戦争)始まった、さっさと逃げるはロシア人、死んでも戦う日本人、クロパトキンの首を取り、東郷元帥万々歳」

 京子ちゃんとさや子ちゃんが、物凄く古い歌を歌いながら、器用にお手玉をやっている。

 この歌に限らず年が一つ上だけなのに、京子ちゃんの知っているわらべ歌には、信じられないほど時代遅れのものが多かった。

 多分日露戦争のわらべ歌も、本当は手まり歌なのを、お手玉に応用しているのだろう。

「セッセッセーのヨイヨイヨイ、オチャラカオチャラカオチャラカ、ホイ、オチャラカ勝った(負けた)よオチャラカ、ホイ」はオチャラカじゃんけんの時に歌うはやし歌で、オチャラカホイのホイの時にじゃんけんをして、負けた方はおじぎ、勝った方はバンザイをする。
あいこの時は、オチャラカあいこでオチャラカ、ホイでもう一度やった。

 たったそれだけの遊びなのに、何度も何度も飽きずに繰り返し、いつの間にかあたりが夕闇に包まれていた事もあった。

 集った人数を二つに分けて、お互いに相手の中から味方に引き入れたい相手を決めると、手を結んで向かい合い、「花いちもんめ、◯◯ちゃんが欲しい花いちもんめ」と言いながら前進する。
相手はそれを受けて「◯◯ちゃんが欲しい花いちもんめ」とはやしながら前進して来る。

 お互いに相手から指名された者がじゃんけんをして、勝った方は「勝ってうれしい花いちもんめ」とはやすと、今度は負けた方が「負けてくやしい花いちもんめ」とはやし、仲間を相手方に引き渡す。

 これを延々と繰り返して、時の経つのを忘れるほど夢中だった。

 通りゃんせも、うしろの正面だあれも、京子ちゃんが仕切って皆が遊んだが、どういう訳か毎日必ず誰かが泣いて家に駆け戻って行った。

 そんな時は遊びを一時中断してその子の家に行き、庭先から全員が「◯◯ちゃんあそぼ」と声を合わせて繰り返すのだ。

 それでも相手が出て来ない時には、「◯◯ちゃんごめん」と大声で呼び続ける。

 すると相手は、いかにも哀しいというポーズで外に出て来る。

 うつむいて近付いて来た相手を、京子ちゃんを頭に何人かの女の子が相手の肩や背に手を廻して、さも親切そうに慰める。

 こうして再び遊びが再開されるのだ。http://www.atelierhakubi.com/