アトリエ雑記…肖像画職人の徒然草/161121
【晴】
本校舎の東端にある図書室に入ると、右手に少し引っ込んだ形で黒ずんだ作りのカウンターがあり、その奥の書庫の入口は、本の山とガラクタで塞がれていたので、誰も中には入れないと思っていたのだが、実際には壁いっぱいに建て付けられた書架の下の腰板の一部が、まるでカラクリ仕掛けのように外れる作りになっていて、そこをくぐると書庫の中に出入り出来るのだった。
その扉の発見は、まさしくケガの功名という奴で、イタズラの罰として図書整理の居残り仕事をさせられた時に、偶然に見付けたのだった。
その扉の事を知っているのは、多分私だけだったから、私は時々その扉から書庫の中に入って、南側の小さな窓から細々と入る陽の光だけの薄暗くて埃くさい空間の冒険を楽しんだ。
書庫は南北に細長い造りで、南半分は幅2間の長さ3間、北半分は幅1間の長さ2間位だった。
北半分が南より狭いのは、カウンター部分が占めているからだが、大部分の人達はカウンターの向こう側は教室だと思っていた。
外から見ると校舎の南側に小さな窓があるのは分かるのだが、その奥に部屋があるのを知っているのは多分私だけだったし、私はその秘密を他人に話すつもりは毛頭なかった。
書庫の中は文字通り宝の山だった。
多分戦時中に何かの事情で人の目から隠したとしか思えないような内容の本が山積みされていて、その中には美しくも妖しい挿絵がいっぱいのバートン版「アラビアンナイト」や、それに類した雰囲気の本が、あちこちに散乱していた。http://www.atelierhakubi.com/
本校舎の東端にある図書室に入ると、右手に少し引っ込んだ形で黒ずんだ作りのカウンターがあり、その奥の書庫の入口は、本の山とガラクタで塞がれていたので、誰も中には入れないと思っていたのだが、実際には壁いっぱいに建て付けられた書架の下の腰板の一部が、まるでカラクリ仕掛けのように外れる作りになっていて、そこをくぐると書庫の中に出入り出来るのだった。
その扉の発見は、まさしくケガの功名という奴で、イタズラの罰として図書整理の居残り仕事をさせられた時に、偶然に見付けたのだった。
その扉の事を知っているのは、多分私だけだったから、私は時々その扉から書庫の中に入って、南側の小さな窓から細々と入る陽の光だけの薄暗くて埃くさい空間の冒険を楽しんだ。
書庫は南北に細長い造りで、南半分は幅2間の長さ3間、北半分は幅1間の長さ2間位だった。
北半分が南より狭いのは、カウンター部分が占めているからだが、大部分の人達はカウンターの向こう側は教室だと思っていた。
外から見ると校舎の南側に小さな窓があるのは分かるのだが、その奥に部屋があるのを知っているのは多分私だけだったし、私はその秘密を他人に話すつもりは毛頭なかった。
書庫の中は文字通り宝の山だった。
多分戦時中に何かの事情で人の目から隠したとしか思えないような内容の本が山積みされていて、その中には美しくも妖しい挿絵がいっぱいのバートン版「アラビアンナイト」や、それに類した雰囲気の本が、あちこちに散乱していた。http://www.atelierhakubi.com/